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11月19日(土)16時30分からNTTクレドホール第1会場にて、『MOTHER マザー』の上映会が行われました。
本作は、2014年に埼玉県で起きた17歳の少年による祖父母殺害事件を題材としたヒューマンドラマで、母・秋子(長澤まさみ)と、息子・周平(奥平大兼)の歪んだ「共依存」の関係を描きます。身内や社会から孤立し、次第に追い詰められていく痛ましい親子の姿を、俳優陣が体当たりで演じています。
シングルマザーの実状、親子の在り方、社会との関わり方など、見ている人に現代社会の様々な問いを投げかけるドキュメンタリー作品となっています。
上映会終了後に、脚本やキャスティングに関わった佐藤順子プロデューサーによるトークショーがありました。
河村光庸プロデューサーから制作の話があった当初は、とてもシリアスなテーマであるだけに戸惑いも感じたそうですが、当時の事件について調べていくうちに「事件の背景にどんなことがあったのか」という疑問を持ち始めたそうです。
事件の公判で裁判長が述べた、「周囲にこれだけ大人がそろっていて誰か少年を助けられなかったのか」という言葉も足掛かりに、脚本制作に取り組んだと振り返ります。
キャスティングについては、「母親役は非常に難しい役どころであるため、演技力、スター性のある役者さんにお願いしたい」との強い思いがあり、ダメ元で長澤まさみさんにオファーしたところ、すぐに承諾の返事があったそうです。長澤さん自身、「秋子に対して全く共感できないし、共感させてもいけない」と話していたこともあり、観客が秋子に感情移入をしないように敢えてバックボーンを伏せ、息子を通した母親像を作り上げることにこだわったという裏エピソードも明かしてくれました。
本格的な演技は初めてという周平役の奥平さんは、佐藤さんがオーディションで選び好演。多くの映画賞にも輝き、佐藤さんの期待に応えました。
本作を公開した後、賛否含めて非常に反響が大きかったと話す佐藤プロデューサーは、「このような家族がもしかしたら周りにいて、実際に起こりうる事件であると関心を持ってもらえたら嬉しいし、2014年の事件の真相に迫る『誰もボクをみていない』(山寺香著)も読んでみてほしい」と語りました。