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11月20日(日) 13:00からNTTクレドホール第二会場で、片渕須直監督によるティーチインが行われました。
今年で本映画祭に11回目の参加となる片渕監督は、同じく常連参加の観客に大きな拍手で迎えられました。今回は「1000年前、彼女は何を見たのか。」をテーマに、清少納言の暮らした平安時代を舞台にした新作映画についてお話しされました。
実際に参考にした資料やロケハンの様子、それらを基に再現した大内裏の図面や牛車の写真などを投影しながら、本に書かれていることをうのみにするのではなく、実際に再現することで分かる新たな一面や発見の大切さについて力強く語りました。数日前まで行っていたという牛車の再現では、各部位のサイズや速度などの数字にもこだわり、構造や大きさが記録と一致するかどうか、違和感がないかを丁寧に調査しています。膨大な量の資料と細かな作業の様子に、会場からは驚きの声が漏れました。そういった綿密な調査によって作り出される“リアル”が、片渕監督作品の魅力の一つでもあります。
「清少納言は、わりときちんと物事を見ていたのではないか」と語る監督。「枕草子」の内容に嘘があるのではないかと言われるが、監督は違った角度から清少納言の言葉を捉え、新たな解釈を共有してくれました。彼女が仕えた中宮定子との関係性についても、実際に清少納言の綴った言葉を読み解くことで「本当はそこまでべったりした関係ではなかったのはないか」と考えるに至ったといいます。
広島フィルム・コミッションの西﨑智子さんが司会をつとめた質疑応答では、多くの手が挙がりました。監督は、作品作りを支えてくれる常連の皆さんとの関係を「妊婦がお腹の中に赤ちゃんがいるうちからお腹をさすってもらっている感覚」と笑顔で感謝を述べ「来年、また新しいものを見せられるように頑張りたい」と結び、拍手に包まれながらティーチインを終えました。
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