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2021年11月19日(金) NTTクレドホール第1会場で、長編映画『太陽の子』の黒崎監督によるトークショーが行われました。
聞き手は元朝日新聞記者の宮崎園子さんです。
太平洋戦争末期の京都で原子核分裂の研究をしていた若き研究者が、原子核爆弾の研究開発に没頭する姿を中心にストーリーが展開する作品です。NHKではドラマ版が放映されましたが、長編映画の制作を先に取り組んだそうです。
映画製作にあたり、強いテーマ性を帯びた作品はなかなか映画にしにくいという意見をもらいながらも、立場はどうあれ映画にしたいと思ったと熱く語りました。
「だからこそやろうよ」というプロデューサーの励ましもあり、立ちはだかる壁を乗り越えながら10年の歳月をかけて完成に漕ぎつけたようです。
製作過程で起こった福島原発事故問題等が追い風になるなど、今になってみればその10年は必要な年月だったかもしれないと監督は当時を振り返りました。
日本人も加害者たりえたということを描くのにアレルギーを感じたものの、それをどう映像にするか考えた時に、フィクションとして作るが、これが現実にあったんだということを考えたそうです。
聞き手からキャストの配役について聞かれると、監督は、海軍の命令で兵器製造に携わることになり人生がガラッと変わった普通の研究者が、兵器をつくるというよりは、純粋に研究を極めたいという欲求を追求することで生まれる狂気を表現するには柳楽優弥さんしかいないという確信があったと言いました。
さらに、有村架純さんの演技に対する情熱や、三浦春馬さんがエネルギーを吹き込んでくれたこと、田中裕子さんの「田中節」と呼ばれる独特の演技などの舞台裏を披露してくれました。
聞き手から米国のアウェアネス映画祭で長編映画部門審査員グランプリを受賞したことに触れると、米国での上映の手応えは上々だと嬉しそうに答えると、観客からは大きな拍手が送られトークショーは和やかに終了しました。
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