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映画『この世界の片隅に』(2016)などでおなじみの片渕須直監督によるティーチインが11月21日13:30から、NTTクレドホール第2会場で行われました。
片渕監督は広島国際映画祭の参加が今年で10周年、映画監督としてのキャリアが今年40周年、ティーチイン開始時には50人の参加者がクラッカーを鳴らして出迎え祝福しました。「来るな来るなと言われたのは、そういうことだったのか!」と驚く監督に、会場は温かい笑いに包まれました。
最初に近況報告として、のんさんが監督・脚本・主演の映画『Ribbon』(2022年2月25日公開)の応援PVとして制作された映像『映画と生きる映画に生きる』(監督:樋口真嗣)で片渕監督が俳優デビューしたことを明かし、その映像が流れました。
出演者が全員映画監督で、『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督や『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督ら豪華監督陣がスタッフの役を演じ、白石監督が片渕監督の前に映りこんだ撮影エピソードなども披露しました。
いよいよ、今回のティーチインのテーマでもある平安時代についての授業と呼ばれる考察が始まりました。
片渕監督は現在、1000年前の時代を描くアニメーション映画を構想中で、清少納言が中宮定子に仕えた993年頃を中心に描く予定です。物語の舞台は京都の中心部。主人公は清少納言の予定ですが、その主人公がかすむほどキャラが立っている人がたくさん登場予定ということです。現在、そのひとりひとりの心情を作成中と最初に説明がありました。
映画は来年の夏に制作が始まり、現在は、準備段階だそうです。これまでコロナ禍でロケハンにも出られなかったそうですが、先日、ようやく京都にロケハンに行かれたそうです。そこから、監督がロケハンで見たものや昔の資料をプロジェクターに映し来場者に紹介していきました。主に平安京の内裏の図案と2015年に発掘された遺跡の写真を重ねて実際どうだったのかという考察や、その時代の人たちの誰がいつ、何の病気で亡くなったのかという監督オリジナルリストなどを披露し、会場は白熱しました。片渕監督は「清少納言が書いたものは生々しくみずみずしい。記憶の途中から切り出したその時見た瞬間の生々しい映像的イメージを文章に書き残しているんです。ビジュアルの資料がない時代に、清少納言が書いた文章が一番のビジュアル資料です」と話しました。
清少納言、中宮定子の物語を取り入れたいと思ったのが2007年だったそうですが、その当時は新型コロナウィルスはなかったと振り返りました。さらに「映画の舞台である平安時代は疫病とは切り離せない時代。現在我々もコロナ禍で生きているけれど昔はワクチンもなく、科学とは縁遠い時代だった。そういう時代があって、歴史は繰り返しているんだよというところを映画で知ってほしい」と訴えました。
その後、参加者からの質疑応答があり、全員で記念撮影をしました。最後は片渕監督が参加者に1本1本花を手渡してティーチインは和やかに終了しました。
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