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11月21日(日)14:00から広島市映像文化ライブラリーで、アンゲリキ・アントニウ監督作品の『グリーン シー』が上映されました。
記憶を失ったアンナが孤独なルーラと出会い、ギリシアの港のそばにある居酒屋で料理人として働き始めます。アンナの料理は地元の人々の古い記憶を呼び起こし、彼女もまた様々な人との出会いから記憶を取り戻そうとするのですが、そんな時、ルーラがアンナの正体を知り、物語は思わぬ方向へ動き始めます。
作品上映後には、アンゲリキ・アントニウ監督へのオンラインインタビューの録画トークも上映されました。聞き手は比治山大学の貝嶋崇教授です。
まずは監督自らの生い立ちについて聞かれると「建築を学びましたが建築家になりたくなかったのではじめは女優を目指しました。しかし家族の反対もあり、映画を撮るようになりました」と答えました。
『グリーン シー』の主人公アンナについて尋ねられると「アンナはいつも頭の中ばかりで考えていて、孤独とストレスによって記憶障害になった」とアンナの病気について語りました。作中で、見返りを期待せずに食事を提供することで愛を認識していくアンナと重ね合わせて、本当に必要なのは「知識という食事」と答えられ、心を開いてあらゆる知識に触れることの大切さを力強く話しました。
食事の話の流れから好きなギリシア料理について尋ねられると「ガーリックのスパゲティやフリカッセが好き。広島に行ったら作ってあげる」と、監督のチャーミングな一面も。会場が暖かな雰囲気に包まれました。
居酒屋の主、孤独なルーラについては「彼は人生に絶望して希望がないのだけれど、アンナに仕事を与えている人間的な強さがある。人間関係を嫌っているがアンナと接し愛を取り戻すという複雑な過程を描こうと思った」と映画制作の段階を振り返りました。
今後の映画の予定について聞かれると「本音で言えば少し疲れたので充電期間の予定です。すべてを忘れて、海を見て、人生について考える。その後にこの質問に答えたいですね」と晴れやかな表情で答えました。
終始にこやかに質問に答えられた監督。最後に観客の皆様に向けて「アンナが食堂の皆を料理で暖めたように、この映画を楽しんでもらい魂と心を和ませることができたらうれしいです。広島に行くことができず残念ですが、ぜひ楽しんでください」とメッセージを残しました。
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