2日目の15日には長谷川和彦監督のデビュー作「青春の殺人者」が上映され、その後のトークショーでは、長谷川監督自身が、広島で初めて作品について語りました。
親を殺してしまった主人公の揺れ動く心を、生々しく激しく描いたこの作品の撮影当時、長谷川監督は30歳。主人公の水谷豊は24歳、原田美枝子は17歳でした。「ついこの間撮ったような感覚がある。今も豊のイメージはあの時の主人公の順のままだし、美枝子も立派なお母さんになったが、あのときのまま。だから撮影から40年近くたった今も、自分が変わったという感じもしない」と振り返りました。
現代にも通じる、親殺しという重いテーマについては「誰でも一度は自分の心の中で親を殺して大人になっていく。コンプレックスとしての親を殺して生きていく」と、「エデンの東」の主人公に重ねた思いや、自身と父親との関係を語りました。 主人公が作品の中で、父親と相撲を取るシーンについては、「僕ら親子も相撲を取った。それが親子のコミュニケーションだった」と、自らの体験を主人公に投影したことを明かしました。
会場の女性が、血のりや裸の描き方がストレートで衝撃的だったと感想を述べると、「今後もお茶の間で誰でも見られる映画は作らない。血のりや裸も必要なら描く。抑えた演出はしないし、自分の本音は変えない」と、自身のスタンスを強調しました。
« コンペティションBのトークショーが行われました。特別招待作品「さまよう小指」の竹葉リサ監督、主演の小澤亮太さんによるトークショーが行われました。 »