11月16日12時45分から第二次世界大戦を題材にしたアメリカ映画「Little Boy」が上映され、その後、来広が叶わなかったアレハンドロ・モンテヴェルデ監督とスカイプで映像をつないだトークショーが行われました。
進行は広島テレビの糸永直美アナウンサー、通訳はポーリン・ボールドウィンさんです。トークショーの間はロサンジェルスに滞在中の監督の声が聞こえないハプニングも。しかし、監督が筆記で答えてくれたり国際電話をつないだりしながら、監督の声が直接聞ける貴重な時間が流れました。
「Little Boy」は、アメリカ人の少年が第二次世界大戦から父親を取り戻すという不可能を実現しようとする感動作です。2015年2月にアメリカで公開が予定されており、「広島国際映画祭」が世界で初めての上映の場となりました。この理由について監督は「私はメキシコからアメリカに移住して、戦争の話をたくさん聞きました。多数の方が亡くなった戦争は、立場によって見方が違います。日本は私の弟も住んでいた大切な国。この映画は広島に落ちた原爆の映像が出てくるので、広島の人に観てもらいたかった」と話してくれました。
映画のタイトルは、主人公の少年の呼び名でもあり原爆の別称でもあります。これを掛け合わせた理由は「恐ろしい爆弾に無邪気な名前が付けられていたことにショックを受けました。戦争が起こした憎しみと子供のいじめを掛け合わせて、物語の構想を3年間練りました」と言います。
映画の中には、小さな子供が周りの大人たちから影響を受けて成長する姿が丁寧に描かれています。「子供を主人公にしたのは、教育が一番大切なことを伝えたかったからです。何も知らない子供が、自分の母親や神父、日本人などのアドバイスを受けて、憎しみを乗り越えてそれぞれの立場から見た戦争の現実を感じ取って行く姿を描きました」と、映画に込めた思いを語ってくれました。
トークショーでは、平和をテーマに取材や活動を行う中国新聞のジュニアライターも参加。「原爆について監督はどう考えますか」という高校生からの質問に「戦争からはいいものは何も生まれません。この意識を伝え広めることが大事です」と力強いメッセージを残してくれました。この様子は後日中国新聞の紙面やウェブサイトで発表されるそうです。
観客の方からは「映画を作るなかで一番難しかったことは」という質問が出ました。「子役には1日5時間しか仕事をさせてはいけない規定があるので、撮影に苦労しました。でも私は子供が3人いるので、子供は大好きですよ」と会場を和ませてくれました。 世界初の上映となった映画「Little Boy」。今後どのように世界で観られていくのか見守っていきたいですね。