「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」の2作以降、30年余りメガホンを取っていない長谷川和彦監督に、ぜひ第3作を撮ってもらおうと、第1回企画会議が開かれました。「これだという題材やアイデアに出合えば、撮影したい」と意欲を見せる長谷川監督に、新作にはどのような題材や物語がふさわしいか、どんな作品を撮ってもらいたいか、50人ほどが参加して意見交換をしました。
まず発言したのはコンペ作品にノミネートされている西中拓史さん。有罪判決を受けたのち自殺した被告の遺族が、裁判官に復讐する物語を提案しました。長谷川監督は自身の半年間の服役経験を振り返りながら、「裁判官も人間だ。結構感情を持っている。裁判官が人間として描かれる映画がまだできていないなら、新しいアイデアとしてありかな」と興味を示しました。
参加者の一人は、戦後の刑務所を舞台に、カープ中継に勇気づけられる囚人たちの物語を小説に表し、提示しました。
作品を読んだ長谷川監督は「小説の中にはいろんな興味深い囚人が出てくる。だれに焦点を絞って描くか。(読んだ印象では)囚人の過去や時系列の展開など、描くべきものが多く、主人公に乗っかって見られる作品をつくりたい自分にとって、群像劇すぎる」と感想を語りました。
ほのぼのとした作品を描くには照れがあるとも告白。「俺のスタイルは『毒×痛快 そして一瞬の涙』。毒には魅力がある。ただ悪いものではない。それを痛快に感じられない作品でないといやだ」と強調しました。
長谷川監督が望む、いまだに誰も撮っていない毒のあるテーマとは何か━。 ほかにも左翼思想かぶれのインテリやくざを題材としたものや、全体主義的国家をテーマとしたものなどのアイデアが出されました。
「自伝を題材にしては」との提案には「その提案は分からないでもない。でも誰が俺を演じるんだ。俺は俳優は向いていないし、20代の頃なんで演じられない。なによりこっぱずかしい」と話していました。
2時間の意見交換で第一回会議は終了。今後はウェブサイトを開設するなどして、さらにアイデアを募り、企画を練っていきます。会議を終えた広島国際映画祭の部谷京子代表は「長谷川監督の心をつかむアイデアを提示し、絶対に第3作を撮らせてみせる」と意気込んでいました。
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