11/15(土)20時30分から第一会場で『イン・ザ・ヒーロー』が上映されました。上映後、会場で一緒に『イン・ザ・ヒーロー』を鑑賞していたという武 正晴監督が登壇し、トークショーがスタートしました。(聞き手は広島エフエムでもラジオパーソナリティを務める宮前道子さん)
今回はトークショーの様子をインタビュー形式でレポートします。
ーー「スーツアクター」をテーマにしたきっかけは? 「いつかは映画の映画を撮りたいと思っていたんですよね。僕自身も監督とはいえ裏方ですから、そこにスポットを当てた作品をおもしろおかしく描いてみたいなと。助監督の頃から多くのスタントマンさんたちとご一緒することが多くて、彼らは本当に命をかけて演じているんですよね。昨日、ここで長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』が上映されていたと思うんですけど、そこでスタントをしていた当時17歳の役者さんが本作品にも出てくださっていたりするんですよ」
ーー実際に近くにいる「スーツアクター」をモチーフにしていかがですか? 「3ヶ月間スタントチームと毎日撮影をしていたのですが、稽古をしているのか?映画の撮影中なのか?どっちなのかが分からなくなりましたよね(笑)。100人の忍者が次々と斬られていくラストシーンでは、スーツアクター界のレジェンドたちが集まってくれたんです。撮影している僕たちもレジェンドたちの姿に魅せられました」
ーーこの映画を通じて伝えたいメッセージとは? 「とにかくやり続けることの大切さ、難しさ、そして美しさです。ゴールはないんだけど、そこにはきっと何かがある。3ヶ月間、鶏のささみを食べてご自身の体をストイックにしぼったという、唐沢さんの映画に向ける姿勢からもその美しさを学びました」
トークショーでは武 正晴監督のご好意によって観客の質問に応じる時間がたくさん設けられ、ひとりひとりの質問に丁寧に応じる姿も印象的でした。
ーー監督業を続けていく中で折れそうになったことはありますか? 「毎日ですよ、毎日。朝起きるたびに折れそうですよ(笑)。何とか歯をくいしばってやっています。でも、続けたくても続けられない人もいるわけですし、毎日のドキドキを楽しんでいますよ」
ーーラスト部分で「映画は監督のものだよ!」というシーンがありますが? 「あれはギャグですよ!(笑)。僕自信は映画は観客のものだと思っています。実はあのシーンに登場する監督は、昨年のダマー映画祭にも来られていたイ・ジュンイク監督なんですよ。韓国映画界の名匠で、とても素晴らしい監督さんなんですよ(笑)」