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2023/11/25

カフェで紡ぐ出会いとさよならの一日 『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』上映とトークショー

11月24日(金)11時からNTTクレドホール第1会場にて『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』の上映と、キム・ジョングァン監督によるトークショーが開かれました。

キム・ジョングァン監督トーク

2016年にキム・ジョングァン監督が手掛けた映画『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』は、閑静な路地の一角にあるカフェの窓辺のテーブルが舞台。物語を進めるのは、同じ一日の違う時間帯にそれぞれテーブルについた4組の会話です。

朝は女優になった元彼女とその元彼氏、昼には一夜限りの関係を持った男女の再会、結婚詐欺をはたらく親子役の顔合わせ、夜になると結婚を控える女性と元彼氏の出会いといった、様々な事情を抱えるふたりの会話が繰り広げられます。

キム・ジョングァン監督トーク

上映後にはフリーパーソナリティのキムラミチタさん進行によって監督とのトークショーが開かれました。この作品について監督は「短い会話が繰り広げられる演劇のような作品」と評し、毎日異なる俳優たちが同じ椅子に座って演技をしている姿を見て不思議な感覚を覚え、まるで演劇監督になったかのような気持ちで撮影していたと振り返りました。

しかしながら、演劇のように進行する4つのエピソードはそれぞれ独立するのではなく、根底には一つの繋がりを持たせて描かれているのです。劇中ではテーブルに添えられる白い花が印象的に用いられ、朝に生け夜に枯れていくその様は、カフェでの“一日”の流れを強調するとともに、その時々の4組の心情をも表していました。

キム・ジョングァン監督トーク

さらに、彼らが注文するドリンクにさえ意味を持たせ、1組目ではエスプレッソとビールという対照的なドリンクからお互いの温度差を表現。全体を通じて会話劇というシンプルな設定のため、観客を飽きさせないか少し怖かったと語っており、そのために小物にも特別な意味を持たせたことを明かしました。

テーブルと椅子は、4組すべての会話を知っている唯一の存在として同じ場所に存在させていること。音楽についても美しいギターの音色が会話を一層引き立たせていたこと。細部まで丁寧に描かれた舞台裏を知ることができました。また、舞台となったカフェは監督の故郷、韓国のとある街の工房を使用しており、次回は居酒屋として映画に使いたいとも話しました。

この作品は2021年に製作した『夜明けの詩』の元となった作品であることも明かし、最後には「僕にとって特別な作品です。また広島でも映画を撮影してみたいです」と締めくくりました。

キム・ジョングァン監督トーク

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