広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2023/11/26

障がいのある方も日本映画を観られる世の中に

11月26日(日)10時30分からNTTクレドホール第1会場で『ケイコ 目を澄ませて』のバリアフリー版上映と、福嶋更一郎チーフプロデューサーによるトークショーがありました。聞き手はフリーパーソナリティーのキムラミチタさんです。

「ケイコ目を澄ませて」トーク

冒頭に、名古屋テレビ出身の福嶋チーフプロデューサーは、20年ほど前にグルメ番組の制作ディレクターとして広島を訪れたことがあったものの、原爆ドームに行ったのは今回が初めてで「訪れることができて本当に良かった」と話しました。

福嶋さんはプロデューサーとして、河瀨直美監督の『あん』(2015)、深田晃司監督の『淵に立つ』(2016)、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』(2018)などに携わり、これまで数々の作品をカンヌ国際映画祭に送り出してきました。

「ケイコ目を澄ませて」トーク

今作『ケイコ 目を澄ませて』もまた、ベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭といった国際的な映画祭で上映され、日本国内でも日本アカデミー賞 主演女優賞など多くの賞を受賞しています。映画の原案となった『負けないで!』作者の小笠原恵子さんの生き方に着想を得て、三宅監督がフィクションとして新たな物語を作り、映画にしました。

「コロナ禍の閉塞感や焦燥感と、聴覚障がい者の方々の日々の生活で感じていることが似通っていることに着目し、単なるボクシング映画ではなく、ケイコの日常を描きたいと思いました」と話されました。また、三宅監督の起用については「これまでの作品を観て、素晴らしい人物描写をする監督だと思っていて、彼なら丁寧に描いてくれるのではないかと感じました」と明かしました。

「ケイコ目を澄ませて」トーク

主演の岸井ゆきのさんについては、テレビや映画ではふんわりとした役が多いが、実はとても負けず嫌いでストイックな俳優さんだそうで、「現場では役に入り込んでいて、声による呼びかけには応じず、肩を叩くなどしてようやく振り向くような徹底ぶりだった」と振り返りました。

トレーナー役として出演し、実際に岸井さんのトレーナーも務めた松浦慎一郎さんと岸井さんのリングでのミット打ちのシーンでは「2人があまりにも素晴らしくて監督が思わず声を漏らしてしまい、ファーストテイクがNGになった」と話すと、会場からは笑いが起こりました。

「ケイコ目を澄ませて」トーク

原案の小笠原さんとの打ち合わせで「聴覚障がい者は日本語字幕のない日本映画が観られず、海外の映画ばかりを観ている」と聞きショック受けた福嶋さんは、国内でも日本語字幕付きの映画をどんどん増やしていきたいと考えているそうです。

子どもから大人まで、ハンディキャプを抱える方々も映画文化を楽しめる世の中にしていきたいと力強く語り、盛大な拍手とともにトークショーが終了しました。

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