News
ニュース
11月25日(土)10:00から、NTTクレドホール第一会場で「エグジール」が上映されました。
メガホンをとるのは、広島国際映画祭2017の審査員をつとめるリティ・パン監督。クメール・ルージュ(カンボジアの反政府勢力)のリハビリテーション・キャンプで苦しんだ体験をもつ監督自身の姿を投影するように、ある男性の状況をリアルに、時には幻想的に描く作品です。
上映後、リティ・パン監督をステージに迎えてトークショーが行われました。主人公の記憶をたどりながら、その生活を描く演出について「厳しい状況の中で大事なことは〝生き延びること〟。それには残された記憶をたどっていくことが必要」と話しました。またクメール・ルージュ時のアーカイブ映像を盛り込むことには「同じアーカイブ映像を繰り返し使っている。映像は確か3~4パターンのみ。昨今は世界中に映像が氾濫し、消えていく傾向にあるが、繰り返し同じ映像を見ることで観客はその映像を記憶に留めることができるから」と手法を明かされました。「アーカイブ映像の効果は2段階あり、最初は本来の歴史を語り、その後の段階として別の角度から読み取り方ができる」とも。
「エグジール」は〝亡命〟という意味。「広島には心の中の亡命があるのでは。数十年前に起こった大きな悲劇は追憶として残っている。それは命が終わるまで持ち続けなくてはならない」と語る監督。「広島を訪れるのは初めてだが過去の大きな悲劇のことを知っていたので、私の心は昔からここにある」とも。広島で映画撮影をされる予定はという問いには「アラン・レネ監督(仏)が被爆地ヒロシマを舞台に『ヒロシマ・モナムール』という素晴らしい作品を撮っている。それに続くのは、とても難しい。 放射線被害には関心がある」と話しました。最後は〝広島でぜひ撮影を〟という気持ちを込めた客席からの拍手に「考えます」と力強くこたえました。