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11月26日(日)10:30より、広島市映像文化ライブラリーで『セルジュ・ダネーとジャン=リュック・ゴダールの対話』が上映されました。
おびただしい量の映像、声、音楽、文字のコラージュによってゴダールの映画史観が展開される、全8章、約4時間半の大作「映画史」。その製作を始めた時期に、ゴダールと映画評論家のセルジュ・ダネーが「映画史」について語り合う。まるで観客が立ち合い人であるかのように、終始カメラは固定で対話を捉えていく。
約2時間の映像は、スイスのロールにあるゴダールの自宅兼アトリエでゴダールとダネーが対話をしている場面から始まり、そしてそのまま終わります。ダネーの持論に対し、果たしてこれは対話なのかと思わせるほど、タバコをふかしながら自由に話すゴダール。ほぼ自由連想と言ってもいい、脈絡のない、そもそも話の前提を崩して対話を成り立たせようとしないゴダール。しかし、それでもダネーとの不思議な信頼関係のようなものが感じられ、2人の話は止まりません。「映画史」に対する各々の思想が時に熱く、時にゆるやかに、時に和やかに、脱線しながら語られていきます。
上映後は、その濃い内容に圧倒された客席から現実に戻ったかのように徐々に大きくなる拍手の中を、ゴダールの研究をされている関西大学の堀潤之教授が登壇され、映画の解説が始まりました。
「皆さん、お疲れだと思いますので手短に話をしますね」と客席の笑いを誘う堀さん。「ゴダールという人を感じていただけたと思います。普通の会話をしようとしない、ハッタリも言う、しかしこれがゴダールの遊び心であり、クリティカルな会話術なんです」と語ります。この対話の4つのポイントは、一つ目はモンタージュについて、二つ目は見ることと言うことの対立について、三つ目はテレビと映画の関係について、そして四つ目は強制収容所についてです。映画の歴史や日本の映画についても織り交ぜながら、わかりやすく、面白く解説されました。
最後に「この映画に入っていない二人の言葉がたくさんある。みなさんの記憶に残る言葉を各自見つけてほしい」と締めくくると、客席からは大きなうなずきと拍手が起こりました。