Newsニュース
11月22日、フランス・カンボジアの合作映画『ゴールデン・スランバーズ゙』が上映されました。
監督はダヴィ・チュウ。フランス生まれのフランス育ちのカンボジア人。両親と1975年にフランスへ移住。祖父はカンボジアの偉大な映画監督で、自身も幼い頃から映画作り関わりたいと思っていたそう。
1960年代から70年代前半にかけて東南アジアを代表する映画の都だった「プノンペン」。ポルポト政権によって産業としての映画は完全に崩壊し、400本に達するフイルムは殆どが処分され、現存するのは30本と言われています。
『ゴールデン・スランバーズ』とは “黄金のまどろみ”を意味し、この作品は、失われた祖国の映画史を発掘していく貴重なドキュメンタリー映画です。
上映後、プロデューサーのジャッキー・ゴルドべルグさんを迎えてのトークショーがありました。インタビュアーは、東京国立近代美術館フィルムセンターの岡田秀則さん。
自らも収集・保存など多方面から「映画の記録を守る」仕事に携わっているだけに、
映画でないもの、劇場・ポスター・証言などから映画の歴史を作り直していく作業など興味深い話になりました。
監督のカンボジアでの背景、映画を作りたいという思いから2人で会社を設立。お互いの作品をプロデュースしています。
この作品は、ダヴィ・チュウ監督が一年間カンボジアに住み、クメール語を学び、証言者を探すところから始まり、2011年、1か月の撮影に入りました。
最初の上映は、2012年のベルリン国際映画祭。この映画キーポイントとなる5人の証言者も出席。3本のカンボジア映画も初上映されました。
また、本国フランスでも劇場公開、テレビ放映もされ注目を集めました。
この映画では、残された映像は殆ど使われておらず、フイルム以外、紙の資料やラジオの音、映画で使われた音楽などで構成されています。これは、映像に頼るのではなく観る人の創造力で映画を観てほしいという思いから。自分の頭の中で再構築してほしい。と。
特に2人の映画ファンの証言は貴重で、その一人の「両親の顔は覚えていないが、映画俳優の顔は覚えている・・・」この証言は衝撃的だったとジャッキーさん。崩壊された文化の中で何が失われ何が残ったか。頭の中は自由。この作品を通して自分の中のこととして見つめてほしい。
いつも未来に向けて作品作りを続ける、ダヴィ・チュウ監督。現在は長編映画撮影に入っているそう。『ゴールデン・スランバーズ』を経てさらに「現在」「未来」へと目を向けている。次回の作品を楽しみに待ちたい。
« シネマテーク・フランセーズのジャン・フランソワ・ロジェさんから作品の紹介がありました国際短編映画コンペティションB上映後、ミゲル・ゴメス監督と、ダフネ・ヘレタキス監督が登壇し、自身の作品について語りました »