広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2015/12/28

『あん バリアフリー版』上映後、主演の永瀬正敏さんによるトークショーが行われました

11月23日(月) 13:30からNTTクレドホール第一会場で『あん バリアフリー版』が上映されました。
元ハンセン病患者の老女(樹木希林)と、中年のどら焼き店の店主(永瀬正敏)、店の常連の中学生(内田伽羅)の交わりを描いた人間ドラマ。原作は詩人や作家、ミュージシャンとして活動するドリアン助川。メガホンととったのは、2007年『殯(もがり)の森』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した河瀬直美監督。美術監督は本映画祭代表の部谷京子が担当しました。

1123_07_An_01上映後、大勢の立ち見客に囲まれた満席の会場から割れんばかりの拍手が沸き起こり、どら焼き店の店主を演じた永瀬正敏さんが颯爽とステージに登場。トークショーが行われました。聞き手は広島ホームテレビの大重麻衣アナウンサーです。
20年ぶりの来広となる永瀬さんは、久しぶりの広島に「20分ほど前に着いたばかりなので、まだ実感がわきません」とにこやか。会場は和やかな雰囲気に包まれました。
今回の上映は、音声ガイドナレーションと日本語字幕がついた完全バリアフリー版で、全世界に先駆けて初のお披露目となりました。「こういったバリアフリー版は、新しい映画の表現の仕方。上映回数が増えればいいですね」と永瀬さん。作品に出演するきっかけは「河瀬監督から、私が所属する会社のFacebookページにメッセージをもらいました。これもまた新しい形ですね」とにっこり。「河瀬監督は世界的に有名な監督。ご一緒したいと思っていたので、もちろん」二つ返事で引き受けたそうです。
1123_07_An_02河瀬監督の演出は「独特です。普通は現場に入ってから役になりきればいいのですが、朝から晩まで千太郎でいなくてはいけないのです。よーい、スタートもカットの声もなし。何かアクションを始めると自然にカメラも回り始めるのです」。千太郎になりきるために「生まれ故郷に行って風を感じたり、千太郎が住むアパートに寝泊まりしてみたり、時間をかけてくださいます」と撮影秘話を披露。

樹木希林さんと長い時間の共演は初めてで「本当に素晴らしい女優さんです。今でもこの映画のエンディング曲が流れてくると、いたたまれなくなります。樹木さん演じる徳江さんへの愛情や、守ってあげられなかった悔しさ、いろんな感情が込み上げてくるんです。これからのすべての出演作で共演したい」と大絶賛。
共演した樹木さんの実の孫で中学生役の内田伽羅さんについては、「他のキャピキャピした中学生役の3人とは違って凛とした中学生役。普段も同じでとてもかわいい女の子です」。イギリス在住で撮影の度に来日する頑張り屋さんだそうです。
どら焼きの生地作りはホットプレートを購入して練習したが、実際は平らな鉄板で焼くので役に立たなかったというエピソードを披露。ハンセン病については「劇中の〝今までそこまで知らなかったことが恥ずかしい〟というセリフ通り、ハンセン病の資料を読んだことはあったのですが、実際にその方に会って話を聞くと全然違っていた」と明かされました。
途中、広島カープの話題になり、宮崎で野球少年だった永瀬さんは「古葉監督の時代、キャンプで宮崎入りしたカープ選手たちは、私たちが差し出す色紙に快くサインして下さり最後に〝ありがとう〟と言われるんです。これぞプロ!と思いました」という話も飛び出しました。

 最後に「映画は製作しただけでは完成とは言えない。観ていただいてこそ完成で、それからまた進化していくものです。本日はみなさんに観ていただき、ありがたくとても嬉しかったです。広島国際映画祭は2回目だそうですが、20年後も30年後も続けていって下さい」とメッセージを残されました。

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