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日本プレミア『アラビアンナイト第二部』の上映後、ミゲル・ゴメス監督と映画批評家の赤坂さんのトークショーがありました。
赤坂さんからミゲル・ゴメス監督に一言なにか頂けますか?と尋ねると監督は少し考え、「本日ご覧になって頂いた映画は昨日の映画と同じ物ですが、なぜ違うのかは私にも解りません。最初はひとつの映画を作るつもりが、気づいたら3つになっていました。この映画は3人の人物が登場し、様々な国の話がそれぞれのアイデンティティと結びつき、展開していきます。例えば、ゲームのように考えてもらえれば良いと思います。何段階かのレベルがあり、今日の作品は主人公たちにとって苦しいレベルにいます。第2部で完結させようとしましたが、それではあまりにも暗すぎるので、私が安らかに眠れるように3作目をつくりました。この作品はポルトガルとポルトガル人を描いています。この映画では登場人物が孤独です。ディクシーと言う犬だけが孤独ではありません。人間はみんなでたらめでそれぜれがめちゃくちゃな事をしています。それは社会がめちゃくちゃだからです。ただ、犬は社会に属さないから犬だけがまともでした」と答えてくれました。
赤坂さんが観客席になにか質問はありますか?と尋ねると観客の女性の方から「昨日も今日も感動しました。この作品は有名な俳優さんを使われているのでしょうか?」と質問がありました。監督は「最初のストーリーの方は素人の方、2つ目のストーリーは演劇出身の方、3つ目のストーリはプロの俳優さんです。私は素人の方、プロの方、様々な方を使う事が好きです」と答えてくれました。
赤坂さんが出演者には演出等の指導はしましたか?と次の質問をすると、監督は「カメラの前に人物が写り、それらの対象がなんなのか知っていく作業から始まっていきます。私はアマチュアにプロの演技をして欲しい、逆にプロにアマチュアの演技をして欲しいと要求する事はありません。それぞれの役者がそれぞれの味を持った演技をしてくれるからです」と答えてくれました。
赤坂さんが続けて演技について尋ねると「犬についてはとても簡単です。まて、おて、これをくわえて、指示するだけでした。この3つの指令を使いこなす事でロバート・デ・ニーロのように演じてくれました(笑)。最初のストーリーに出ている素人の方はもともと山で鳥を狩る仕事をしています。ハンターとしてとても自然な動きをしてくれるので彼を選びました。2つ目のストーリーに出ている演劇出身の方(裁判官役)には今回の役は難しかったと思います。裁判官はすべてをコントロールする立場にいますが、この役では裁判を進めていくうちに感情に揺れ、理性を失ってしまいます。一緒に台本を作っていくうえで、コントロールを失っていくシチュエーションを彼女と一緒にどのように描くか考えました」と答えてくれました。
赤坂さんから本日はミゲル・ゴメス監督の短編の作品、明日は『アラビアンナイト第三部』の上映がありますと紹介し、トークショーは終わりました。
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