広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2023/11/24

国際短編映画コンペティション上映後インタビュー① 『リマ・ストリートのバニア』バユ・プリハントロ・フィレモン監督

11月24日(金)14時から、NTTクレドホール第1会場で国際短編映画のコンペティションノミネート作品として上映された『リマ・ストリートのバニア』“Vania on Lima Street”のバユ・プリハントロ・フィレモン監督にインタビューしました。

コンペAインタビュー

主人公はインドネシアにある漢方薬局の娘、バニア。祖母から店番を言い渡されたある夜、大怪我を追った女泥棒が薬局に逃げ込んできます。血まみれの泥棒を目の前にして恐怖に怯えながらも、バニアはこの泥棒を祖母に内緒で手当てし、匿うことになります。

メガホンを取ったのは独学で映画を学んだインドネシア出身のフィレモン監督。デビュー作は“On the Origin of Fear”『恐怖の起源』(2016)。広島国際映画祭2023に出展された最新作の『リマ・ストリートのバニア』は、シンガポール国際映画祭2022で最優秀短編映画賞を受賞した作品です。

コンペAインタビュー

この映画でフィレモン監督が表現したのは「世代間の対話」と「傷」。登場人物のバニア、その祖母、訪ねてきた女泥棒、その世代間の感情のギャップを「傷」を通して比喩的に描いています。

祖母にとっての「傷」はインドネシアで起こった暴動や戦争の辛い過去そのもの。一生心に残り続ける、消えないものです。一方でインドネシアの暴動や戦争を経験してないバニアや女泥棒にとっての「傷」は、薬を塗れば完治するもの。若い世代には祖母の傷に対しての負の感情はなかなか理解できません。

この「傷」を中心とした物語のインスピレーションは、フィレモン監督の幼少期の体験にあるといいます。母親は看護師で病院の近くに住んでおり、幼い頃から傷や治療について関心があったそうです。

『リマ・ストリートのバニア』は、中国系インドネシア人が主人公です。物語の背景には、インドネシアの多様な人種や言語の存在とそれに関連した政治的問題があります。フィレモン監督は、歴史上の中国系インドネシア人の辛い過去映画に反映させようとしました。そうすることで国外の人にもインドネシアの多様性や現状について伝えようとしています。

コンペAインタビュー

「映画は人や社会をいい方向に変える力がある。私はそれを信じて映画を作っています」と生き生きと語りました。また、来日は今回で2度目。広島へは今回が初めてというフィレモン監督は、紅葉の鮮やかな日本の秋を楽しんだそうです。

バユ・プリハントロ・フィレモン監督から広島国際映画祭にメッセージ
「招待してくださってありがとうございます。皆さんから良い反響をいただくことができ、自信がつきました。この映画が多くの日本の皆さんの心に届くと嬉しいです」

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