広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2023/11/24

新しい友達のプロフィール紹介をしている感覚 『ひきこもりという履歴』上映&トークショー

11月23日(木)14時45分から『ひきこもりという履歴』の上映が横川シネマで行われました。

ナオミ・アイランド監督と達富航平さんトーク

上映後はトークショーが行われ、ナオミ・アイランド監督、シネマトグラファーの達富航平さん、出演者のタツオさん、タエさん夫妻が登壇。映画製作の経緯やひきこもりに対する思いなどを語りました。本作は、ひきこもり当事者が自身の立ち止まっていた空白期間を振り返り語るドキュメンタリー映画です。

トークショーは開会式の前に行われた慰霊碑献花について感想を尋ねる質問から始まりました。ナオミ・アイランド監督は、ご夫婦の初デートが広島平和記念資料館だったということを今朝知ったという驚きのエピソードを明かし、「以前は(元アナウンサーのため)取材する側として参加していたのですが、大林宣彦監督の『慰霊碑にお尻を向けちゃいかん』という強い言葉を振り返りました。取材した被爆者の方にもお越しいただき『平和』と今自分がやっていることは離れていないと感じました」と語りました。

また、開幕式でレッドカーペットを歩いた感想についてタエさんが「たくさんの人がいる中を歩くので緊張しました。『ひきこもっていたことが偉いわけじゃないんだぞ』と思いながら歩きました」と言い会場の笑いを誘いました。

ナオミ・アイランド監督と達富航平さんトーク

どんな思いで映画を作ったのか、動機は何かという質問に対し、「ひきこもり約146万人という数は一見莫大で、一人ひとり様々な状況があり異なりますが、聞いたことのなかった生の声を先入観なく聞かせてもらいたい。ひきこもりという言葉は誰が作ったのか?どのように数を調べたのか?など様々な疑問が浮かんだ際に、取材許可をいただいたお二人の思いを共有したいと思ったのがスタートです」とナオミ・アイランド監督。

タツオさんはオファーを受けた後「興味本位なのかという不安感がよぎりましたが、実際お会いすると僕らと同じ目線で撮って下さる安心感があったため1年間撮り続けてもらいました」と話す一方で、「職場に訪れて撮るシーンはフラッシュバックするので辛かった」とも明かしましたが、「この4人なら行けると思った」と監督、達富さん、妻のタエさんとの信頼関係が垣間見えました。

ナオミ・アイランド監督と達富航平さんトーク

「ひきこもりは善悪や問題として取り上げられがちだが、私としては新しい友達のプロフィールを紹介させてもらった感覚」と語る監督の姿が印象的でした。そして、自分と重ねてもらったり励みになるところがあれば良いのはもちろん、ひきこもりについて知ってもらうことが一番と強調しました。

会場に訪れていたタエさんの恩師と監督の同僚たちが壇上で写真撮影をし、トークショーは締めくくられました。ゲスト達の温かい思いで朗らかな雰囲気に包まれたトークショーは、大きな拍手で惜しまれながら終わりました。

本映画は、2024年1月6日(土)に広島市総合福祉センターで無料上映会を行われる予定です。上映会のお問合せ・上映会のご依頼などは公式インスタグラム(@hikikomori_rireki)まで。

ナオミ・アイランド監督と達富航平さんトーク

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