広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2023/11/24

末期がん患者と家族の生活を繊細な余白で描く『メメント・モリ:大地』トークショー

11月23日(木)11時30分から、横川シネマで『メメント・モリ:大地』が上映されました。

マーカス・マン・クオン・ヴー監督トーク

マーカス・マン・クオン・ヴー監督初の長編映画である本作は、第27回 釜山国際映画祭ニューカレンツ部門でワールドプレミア上映されました。第1回 ダナン・アジア映画祭では「痛みの瞬間を映画的に追求した作品」としてNETPAベトナム映画賞を受賞しています。

物語は最終ステージのがんを患う妻ヴァンとその家族の生活を題材としたヒューマンドラマであり、最愛の娘を残して去っていく妻や借金返済のため臓器提供に悩む夫など、何気ない生活を取り巻く葛藤が、美しいベトナムの情景と共に描かれています。

マーカス・マン・クオン・ヴー監督トーク

上映終了後に、マーカス・マン・クオン・ヴー監督をゲストにお招きし、安田女子大学の北原アンドレア准教授の通訳のもと、トークセッションがありました。 監督は本作について、2018年にベトナムで出版された“Destination Of Life”からインスパイアを受けたと話しました。ごく一般的なベトナムの家庭の生活を対象にしていることに感動したと同時に、「どんなに困窮し大変であっても、幸福な瞬間が散りばめられている」というメッセージを作品にのせて、多くの人に届けたかったと振り返ります。

作中で重要なトピックとなっている臓器移植・提供については、経済的貧困を解消するために、臓器が不法な闇市で一定数取引されている現状があるとベトナム社会と関連づけて説明しました。制作にあたって多くのがん患者にインタビューを行っており、「医療技術が向上して、がんは治る病になりつつあるが、ベトナムでは依然として死亡率が高い。実際に、先日親友をがんで亡くしている。」と語りました。

マーカス・マン・クオン・ヴー監督トーク

最後に観客から、広島を舞台とする続編に対する思いについて聞かれ、「プレッシャーを感じます」とにこやかに返答。会場は和やかな雰囲気に包まれました。3部作中、第2作目となる続編『メメント・モリ:水』は、2人の子どもをがんで亡くした母親の生活を題材とし、旅の途中で広島を訪れる。すでに、監督は今年4月に広島に訪れており、「多くの場所に赴き、人々に触れて多くのインスピレーションを受けた。広島が大好きになりました」と語り、トークセッションを締めくくりました。

マーカス・マン・クオン・ヴー監督トーク

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