広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2020/11/22

片渕須直監督のワークショップ

1122日(土)正午から、片渕須直監督のワークショップが開催されました。片渕監督は広島国際映画祭(HIFF)の初期からワークショップを開催。世界中で高い評価を得た「この世界の片隅で」、昨年公開の「この世界のさらにいくつもの片隅に」も毎年、進捗状況とともに解説してきました。新作を構想中の片渕監督は「(次は)広島が舞台ではないので、この会場ではウケる要素がない」と冗談をいいながら、京都についてリサーチ中であることを説明。「だが、出発点は今回も広島だったとしたい」と、完成するまでHIFFのワークショップで紹介することを約束、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

片渕監督は、徹底したリサーチを重ねてストーリーを膨らませ、映像を作りこむ作風で知られています。『マイマイ新子と千年の魔法』(09)でも、清少納言が子供時代を過ごした周防の国(山口県防府市)をリサーチし、1000年前の少女として登場させています。「自分の習い性だけど、この子どもがどういう人生を歩んだか、資料的に眺めてみたかった。そうすれば別の物語として作ることができるのではと考えました」。

 リサーチでは舞台となる街を様々な方面の資料を駆使して検証、分析し、過去どんな土地だったのか、人々がどのように暮らしていたかを考えます。「立体的に読み込んでいくと意外にもいろいろなものが見えてきます。分かるところができればそこは絵に描ける。シナリオハンティングをやっているようなもの」。十二単を連想されがちな人物描写は「普段着姿」を模索します。例えば「清少納言は実は内気で、物陰から観察していたことを『枕草子』に書いています。そこから見たものを生き生きと書いていて情景が浮かんできます。教科書に書いてある内容とは違う印象を味わえますので、もっと多くの人に読んでほしいですね。平安時代って意外と面白いんだぜ、と」。周囲の興味深い人物の存在に気づくことも多く、新作では「こういう人たちの心の中のドラマをどんな風に組み立てて面白く作れるか、踏み込んだ構想を考えている」と話しました。

次回もこれまでのように、海外で広く浸透する作品にしたいとか。完成がいつになるのかは未定ですが、「ただの(日本の)エキゾチズムではない、リアルを感じてもらえる形で海外にまで持っていければ」と意気込んでいました。

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