広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2019/11/23

「映像と音楽の関係 あなたの心に侵入する音楽」 音楽監督渡邊崇氏のワークショップ

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11月23日(土)12:30より、NTTクレドホール第2会場にて音楽監督、渡邊崇さん(広島市出身)のワークショップが開催されました。映像を見ていて音楽が流れた時に、同じシーンで音楽を変えてみて、人に与える印象がどう違うかを体感してもらうという企画でした。

冒頭に、映画1本につき平均30曲くらいの曲が使われ、100曲くらいの中から70曲がボツになり、スケジュールもタイト。しかも並行して何本かの映画楽曲を同時に制作していると話す、渡邊監督。ノートパソコンとキーボードをいつも持ち歩き、常に音楽作りをしていますが、忙しい中も拘りを持ちながら音と向き合う日々を送っているという話を披露しました。

主なワークショップは2種類で、1つは参加者か監督が、身近な持ち物に書かれてある文章を先ず音楽を付けずに読み、次に2種類の音楽を付けて、違いを体感してもらいました。使われた題材は、ペットボトル、領収書に書かれてある注意書き、料理紹介文、広島国際映画祭のパンフレットの冒頭のコピーの全く内容の異なる4種類。1つ1つの印象を参加者か監督が答え、皆で納得した様子でした。言葉を韓国語に移し、言葉が分からなくても、2種類の音楽が付くことにより、何となく何を言っているかを、それぞれ想像してしまうという実験をしました。最後に、音により景色、時間帯、が変わり、効果も変わると話して締めくくりました。

もう1つは、11月24日(日)10:30よりNTTクレドホール第1会場で上映される、渡邊音楽監督の作品『湯を沸かすほどの熱い愛』(バリアフリー版)の2シーンから。
先ずは音無し、次に公開版の音楽、次に音楽を変えてみて、それぞれ、どのように印象が変わるかを映像と共に体感しました。1つ目のシーンは、いじめを受けている娘に母親が接するシーン。1回、公開版の映像を見た後で、監督が緩やかな音から、「娘が母の自転車の後ろに乗り、母が娘の手を持った」シーンで強い音が入り、自転車のスピードが上がるとドラム音が入ると説明。役者の気持ち、動きに合わせて強い音になると分かりやすく細かく説明をした後で、同じシーンをもう1回、説明された事を意識して見てみました。意識をして見ると、映画と音楽の関わりが一層良く分かりました。音楽を2種類変えて、映像を見ましたが、音楽の印象で1つは、いじめが解決しなさそうで、もう1つは、今後の展開が不吉に感じました。

映画音楽では、映画の後半に向けて、尺が長くなり、楽器編成が増え、スケールが大きくなる場合が多いという監督の話があった後で、2つ目のシーン、「末期ガンが発覚したシーン」に入りました。公開版の映像の音楽はシンプルで静かでしたが、変えてみた音楽では楽器編成を増やし、弦楽器のボリュームも後半では大きくなり、壮大感も出て、まだまだ、病気がどうなるかなどの展開の無いまま、「謎のエンディング」感すら出てしまい、内容には合っておらず、無理やり終わり感が出てしまいました。
1時間のワークショップでしたが、色々な内容が盛り込まれ、音楽の力に魅了された時間でした。参加者は翌日上映される渡邊音楽監督の作品『湯を沸かすほどの熱い愛』を、音を意識して鑑賞し新たな発見をするのではないでしょうか。

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