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11月25日(土)16:00からNTTクレドホール第二会場で、『季節の記憶』が上映されました。
この作品はオーストリアで治療を受けたイラン・イラク戦争の毒ガス負傷者たちのドキュメンタリー映画です。
上映後、イランのドキュメンタリー映画をリードするモスタファ・ラザグカリミ監督とNPO法人モーストの津谷静子さんが登壇されると拍手が起こり、トークショーが始まりました。聞き手はフリーパーソナリティーの玉田陽子さんです。
日本に来るのは4回目で、広島に来るのは2回目というラザグカリミ監督から「広島国際映画祭に来ることができてとても嬉しいです。7年前に東京に招待されましたが、その時よりも今回の映画祭の招待が本当に嬉しい。自分の作品が観客の皆さんにどのように伝わったのか知りたい。私にとって広島のイメージは原爆のイメージがありますが、素晴らしい街になっていることをとても喜ばしく思います」とメッセージをもらいました。
日本国内での上映が4回目という津谷静子さんから「毒ガス自体が今では遠い話。当時、毒ガスの報道は伏せられており、最近ようやく明らかになってきました。これはとても素晴らしい作品です」と、風化させたくないという強い思いが伝わリます。
ラザグカリミ監督は「イラン人は日本人という民族を尊敬しています。日本人は原爆を受け、痛みや悲しみを知っている。ヨーロッパでは戦争について、まだ話されていないこともたくさんあり、戦争を体験した人たちが年をとっていく中で伝えられていないことがたくさんあります。世界の平和のために一人でも多くの人に作品を観ていただきたい」と語られました。
会場の若い青年からの「この作品の中で起こっていることは広島に似ていると感じました。劇中にガラスの壁を隔てた事実とありましたが、伝えることの大切さや難しさを教えてください」という監督への質問には、「ガラスの壁というのはテレビのことで、テレビを通して情報を得るため、実際のものを見ることができない。自分の民族がひどい目に合いましたが、世の中には伝えられていません。今後も自分なりの違うかたちのガラスの壁を通して伝えていきたい」と語られました。
トークショーの最後に津谷静子さんから「イラン映画の魅力はとても深く、生きる力が溢れている素敵な作品が多いです」とメッセージが伝えられ、イラン映画への強い思いが伝わるトークショーは終わりました。