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11月21日(土)19時より、その映画愛溢れる劇場空間で多くのファンが足を運ぶ広島の人気映画館「八丁座・壱」にてポルトガルの映画監督、ミゲル・ゴメス監督のトークショーと、2012年に公開された『熱波(TABU)』が上映されました。
上映前に、ミゲル・ゴメス監督が登壇し、映画評論家の赤坂太輔さんを聞き手にトークショーがスタートしました。日本語で「ありがとう」と挨拶をし、八丁座という素晴らしい劇場で上映してもらえるのが嬉しいですと語ったゴメス監督。「ほとんどのみなさんはまだ観ていないから多くは話せないね」と言いつつ、制作秘話を披露してくれました。
2部構成となる『熱波(TABU)』については「時間と記憶の映画です。リスボンに住む高齢の女性の物語からスタートするのですが、どんどん時間を遡っていくストーリーになっています」とゴメス監督。2部構成となっているそれぞれのパートをどのように位置づけているのか聞かれると、1部から2部へと続くスピード感を大切にしていますとのこと。また、1部で主人公となる高齢の女性を、2部では同じ人物の若かりし姿を見せることで、2部で見せるセクシーな表情や姿も少し哀愁がかったように見せることができると、見せ方効果のテクニックも披露しました。
さらにモノクロ映画にした理由も、記憶というテーマへと結びつきを強くするためだそう。2部になると登場人物の会話音声は消え、ナレーションと効果音のみでストーリーを繋いでいく本作品。ゴメス監督は「例えば、昔を振り返ってみても言葉ひとつひとつはきちんと覚えていないですよね。正確な記憶がなくなっていくことを共有したくて無声にしたんです」と話します。映画を観るだけでは分からない、監督が作品に込めた思いの深さに触れることができる30分間でした。