広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2023/11/25

―寂しさや孤独、闇の静けさの中から暖かな癒しを見出す―『夜明けの詩』上映とトークショー

11月25日(土)10時30分からNTTクレドホール第1会場にて『夜明けの詩』の上映と、キム・ジョングァン監督と俳優イ・ジュヨンさんによるトークショーがありました。

「夜明けの詩」トーク

韓国映画『夜明けの詩』は、まだ冬が残るソウルを舞台に、生と死、時間、記憶という深遠なテーマで、観る者すべてに寄り添うヒーリングストーリーとして誕生しました。

主人公は7年ぶりにイギリスから帰国した小説家チャンソク。自らの経験をもとに小説を出版するため、懐かしさに思いを馳せながらソウルでの日々を過ごします。そこで出会う、時間を失くした女、想い出を燃やす編集者、希望を探す写真家、記憶を買うバーテンダー。深い葛藤を抱えながらも、人生を歩み続ける4人との出会いを経て、チャンソクは閉ざしてきた記憶と向き合い、物語を紡いでいきます。

上映後には、聞き手にキムラミチタさん、ゲストにキム・ジョングァン監督と作中で記憶を買うバーテンダー、チュウンを演じたイ・ジュヨンさんを迎えインタビューが行われました。

「夜明けの詩」トーク

数多くの作品で繊細な演出と映像美で観客を魅了してきたキム・ジョングァン監督。今回の作品は『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』(2016年)でヨン・ウジンさんと撮影をしたときに、一緒に作品を作れたらと思ったのがきっかけだそうです。温かい人柄のヨン・ウジンさんだからこそ、人の話を聞くという役柄にぴったりだと感じたと振り返りました。

「夜明けの詩」トーク

会場では観客との質疑応答も行われ、『夜明けの詩』というタイトルをつけた思いを聞かれました。この映画のタイトルは韓国語で「誰もいない場所」というものです。「死」が映画のテーマの1つとしてあり、監督は「死について話すことは生きることについて話すことと同じと考えます。『夜明けの詩』というタイトルも、夜明けは闇と光が共存する時間ですから、映画にもとても合っていて感謝したいです」と話しました。

死はなぜ必要なのかという質問に対しては監督とイ・ジュヨンさんはそれぞれ「死があるからこそ今を考え、人とも会話を重ねる」「この映画は境界に関する話で、花はいつか枯れるから美しく、人はいつか死ぬから意味がある」と答えていました。

「夜明けの詩」トーク

イ・ジュヨンさんに次回演じてもらうならどんな役を?と聞かれると、監督は同じ俳優と何回も作品を作るのが好きで、イ・ジュヨンさんともまた一緒に撮影をしたい。その上で違う挑戦をしたいという欲もあるので、悪人などを演じてほしいと話しました。

最後に観客の皆さんへメッセージを求められると、キム・ジョングァン監督は「とても意味深い時間を過ごせました。ありがとうございました」と、イ・ジュヨンさんは「広島国際映画祭でいい話をできてとても光栄でした」と語っていました。

「夜明けの詩」トーク

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