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原子爆弾によって失われた広島の町並みや産業奨励館を描いたのが「VR中島本町」です。VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略称で、限りなく実体験に近い体験が得られる」ということを示します。中島本町は現在の平和記念公園がある一帯にあたります。参加者はゴーグルをつけてこの町並みを歩き、原爆投下前の広島を感じることができます。軽快な音楽が流れ、鳥がさえずる穏やかな日常です。川の向こうには被爆前の産業奨励館(現在の原爆ドーム)が見えます。
VRの監督・長谷川勝志先生(福山工業高等学校)に話を聞きました。
——このVRの取り組みはいつから始められましたか
11年前から始めました。これまでにも一教員として平和教育を進めてきましたが、限界を感じ始めていました。生徒が自分ごととして考えられるには、と考えた結果、行き着いたのがVRで原爆投下前の広島を再現する取り組みでした。
——どのように広島の町並みを再現していかれたのでしょうか
原爆投下前、中島本町に住んでいた人たちを何度も訪ね話を聞きました。「ここの角を曲がるとこんなお店があった」「このお店からはこんな音楽が流れていた」といった声を元に、検証を進めていきました。
——再現をする際に意識されることはなんですか
具体的には2つあります。(1)ご存命の被爆者の方々に原爆投下前の町並みを見て、喜んでもらえるようにする(2)これからの若者に継承してもらえる作品にすることです。
——今後の展望を教えてください
これまでに作ってきたVR作品を1本にまとめようと思っています。平和教育のために海外の学校で使われることが多かったのですが、これからは日本の学校でも使ってもらえたら嬉しいです。