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11月25日(土)13:00からNTTクレドホール第2会場で、五藤利弘監督の『レミングスの夏』が上映されました。
14歳の少年少女が夏休みに実行したある計画が過去の悲惨な事件をあぶり出し、大人たちを巻き込み、胸をえぐられるような物語の核心に迫っていく様をスリリングに描いた青春ミステリーです。
上映後に行われたトークショーでは、映画コメンテーターの鈴木由貴子さんを相手に、五藤監督が「中学生のころの気持ちに立ち戻って映画作りをした」と創作の裏側を披露しました。鮮烈でナイーブな主人公役を演じた前田旺志郎さんは、「成長が著しい」と絶賛。「現場でも自分から積極的に関わってくれて、前向きな姿勢がプラスになった」と評価しました。
子どもの頃、テレビで黒澤映画を見て映画監督を目指すようになったと言う五藤監督の次回作は、約10年温め続けた被爆地ヒロシマをテーマにした映画です。2008年、「被爆ピアノ」の音色を蘇らせる活動に努めるピアノ調律師、矢川光則さんと出会い、映画にしたいという思いを伝えました。しかし「広島の人間ではない自分に、このテーマを扱う資格があるのか」と躊躇し、何年も手つかずのままでした。昨年、大きな事故に遭い九死に一生を得て「いのちの猶予をもらった。あとはオマケの人生」と、再び矢川さんに連絡し、映画制作を具体的に進めていきました。
トークショーには矢川さんも加わり、監督との思い出話で盛り上がりました。矢川さん役には、大杉漣さんが決定しています。
現在は各地を回る矢川さんに同行したり、広島での取材を進めたりしています。「平和を訴える被爆ピアノに触れることで何かが変わる人々を見てきた。この感動を映画にして伝えたい」と目を輝かせます。撮影は来秋、広島市で始まる予定。「地元の皆さんにもエキストラでぜひ映画に参加して頂きたい。完成したら、広島国際映画祭で見てもらいたい」と力強く話し、会場からは大きな拍手が起こりました。