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11月13日(日)10時30分から広島市映像文化ライブラリーでフランス映画の巨匠ポール・ヴェッキアリ監督の『階段の上へ』が上映されました。上映終了後、ヴェッキアリ監督と本作出演のフランソワーズ・ルブランさんらが登壇し、トークショーがスタート。
はじめに、本作が長いキャリアでどのような位置づけとなっているのか尋ねられたルブランさんは「はじめてポールの世界観に入ることとなった転換期の作品。ポールの世界観の扉が開かれたという感じがしている」と述べ、さらに「いままでは(=出演3作目までは)慣れた環境だけの撮影だったことから、(当初の)南フランスの撮影は不安だった。はじめて会う人やスタッフばかりなのも不安で、はじめは居心地が悪かった。(今でも)この映画を見ればどこが居心地悪かったか私にはわかる」と話され、当時の率直な思いをありのままに話してくれました。
一方、ヴェッキアリ監督は作品について当時の撮影を回想し「(撮影場所の一つとして)母が実際に建てた家を用いた。(それによって) 撮影のときは自分の家にもどってきたような感覚になった」と話され、このトークショーに来なければ知ることのできない作品の舞台裏をたくさん聞くことができました。
また、1950年代末に始まったフランスにおける映画運動(=ヌーヴェルヴァーグ)についてどのような印象をお持ちか尋ねられたヴェッキアリ監督は「(身体のうち)足やお腹は1930年代、頭はヌーヴェルヴァーグである。ヌーヴェルヴァーグは映画の解放をもたらした一種のプリズム」と述べられました。このような質問を受けるといつもこのように答えるそうで、多くのファンが気になっている質問であることもわかりました。
トークショーの終わり際では「(今回の広島来訪で) 溝口健二*のお墓参りができるという幸運に恵まれた。彼は世界の最高の監督だと思っている」とヴェッキアリ監督は締めの言葉を述べられ、盛大な拍手でトークショーは終了しました。
*溝口健二・・・日本の映画監督
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