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最終日、朝9時30分からNTTクレドホール第1会場で、『母と暮せば』(バリアフリー版)が上映されました。上映後は、主演の吉永小百合さんのトークショーが開かれるとあって、会場は満席。立見席も込み合うほどの大盛況ぶりです。
『母と暮せば』は、戯曲で知られる井上ひさし氏が晩年に構想した「ヒロシマ」「ナガサキ」「沖縄」をテーマにした「戦後命の三部作」の遺志を山田洋次監督が受け継ぎ、ナガサキの原爆で亡くなった息子が亡霊となって母親のもとに舞い戻る姿を描きます。ヒロシマが舞台の井上氏の戯曲「父と暮らせば」と対になる形です。
映画は、聴覚や視覚に障害のある人でも楽しめるように字幕と音声ガイドのあるバリアフリー上映。トークショーは手話通訳付きで進みます。
上映後、白いスーツでさわやかに登壇された吉永さんに、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こりました。聞き手は(株)序破急代表取締役の蔵本順子さんです。
まずは「広島カープが優勝して本当によかった。私も力を振り絞って応援した」と吉永さんからうれしい一言があり、会場が一気に和やかに。
今作の出演については「原爆のことを書いた詩を30年朗読する活動をしており、核兵器がなくなって原爆が使われることのない時代になってほしいと願っていた。そこへ山田洋次監督から今作出演のお声がけがあり、すぐにお受けした」。
共演の息子役・二宮和也さんについては「彼は天才。私はそういう共演者によって自分の演技が引き出されることが多い」。セリフの方言は「東京生まれで東京育ちの私にとってあたたかい感じで思いを伝えやすい」と語りました。
また坂本龍一さんの音楽について「今作はセリフが多いのですが、そのセリフの合間、合間に寄り添うようにうまく音を入れてもらった。映画にとって音楽は欠かせないもの。映画と音楽が一体となってみなさんの心に溶け込むように、人間の手で作っていかなくてはいけない」とも。吉永さんは、12月19日には大阪フェスティバルホールで、坂本さんとジョイントのチャリティーコンサートを開催されます。
さらに「最近は若い人向けにコミック原作の映画や、CGを多用した映画が多いですよね。でも私たちフィルムを経験したシニア世代は、なじみのある昔のような作品を作り続けたい」と本音も。
最後に「広島にこのような素晴らしい映画祭があることを知らなかった。手作りでここまで成功されているので、これからも長く、長く続けてほしい。私もまた良い作品をつくっていく」と力強く話されました。
ちなみに美しさの秘訣は「水泳を続ける」ことだそうです。