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広島国際映画祭はことし、メキシコ最大級の映画祭であるグアナファト国際映画祭(7月22~31日)と交流し、その縁でメキシコ人監督の作品も上映されました。同映画祭に参加した広島フィルムコミッションの西崎智子さんが、その魅力を話しました。
グアナファト映画祭は1998年からスタートし、今年で19回目。メキシコ中部のグアナファト州にあるグアナファトとサン・ミゲル・デ・アジェンデの美しい2都市で開かれ、ことしは世界61カ国から集められた350以上の長短編作品が上映されました。
グアナファト州には広島の自動車メーカー「マツダ」が進出しており、同州と広島県は友好提携を結んでいます。広島との縁を感じたグアナファト国際映画祭の事務局長サラ・ホックさんの提案で、広島国際映画祭との交流が実現しました。
今年の映画祭のスポットライト国は日本だったため、河瀬直美監督の「あん」など邦画の長短編約70本を上演。河瀬監督や原田真人監督、塚本晋也監督、俳優でもある桃井かおり監督らをゲストに、上映会やワークショップなどが展開されました。ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんのドキュメンタリー映画の上演やパフォーマンスもあり、とても盛り上がったそうです。
西崎さんにとって忘れられなかったのが、昨年公開の戦争映画「野火」で話題を集めた塚本監督の代表作「鉄男」の上映会。トンネル内での上映だったが、雨が降って水が流れ込んできたために途中で中止に。映画史上に残る「珍事」だったようです。
また、西崎さんはコンペティションのメキシコ部門の審査員も務め、会期中に37作品も鑑賞しました。審査をした作品の中から受賞した、メキシコ人の女性監督による短編「ドブロ」が広島国際映画祭でも上映されることになりました。
ロケ地としての広島の魅力を売り込むことも、西崎さんの大切な役目です。興味を示した映画製作関係者も複数いたそうで、実際に10月、広島を訪れた映像作家もおり、神楽などを取材して回りました。来春には2カ月ほど滞在して、本格的な撮影をするそうです。
グアナファト国際映画祭は全てのプログラムが無料。メキシコは貧富の差が激しいため、どの階級の子どももレッドカーペットを歩ける「キッズ・イン・アクション」というプログラムもあり、「うるっとするほど感動してしまいました」と西崎さん。これからもグアナファト国際映画祭とつながり、作品や人材を通じた交流で広島国際映画祭を充実させていきたいそうです。