広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2020/11/22

『風の電話』メイキング上映とティーチイン 傷ついた人にそっと寄り添う作品

HIFF2020の二日目となる22日(日)18:00からNTTクレドホール第2会場で、諏訪監督の解説を聞きながら『風の電話』メイキング映像を見るティーチインが始まりました。

撮影中に俳優と打ち合わせするたびに台本を書き直してスタッフに配布するなど、撮影をより良いものにしようとする諏訪監督ならではの撮影エピソードからスタートです。

共に目的地を目指すことになる森尾(西島秀俊)は大人ではあるが、17歳の主人公と同じ傷を抱える対等な存在として押しつけがましい励ましはせず、「大丈夫」とただ一緒に過ごします。他にも、「食べろ」「生きろ」「大丈夫、大丈夫」と旅の途中で会う大人たちが主人公にかける励ましの言葉は一見シンプルにも思えます。共感はできても当事者の傷や痛みを理解することはできない、だから気の利いた言葉は言えない、だがそれでいいのではないか。痛みを抱える人にそっと寄り添う『風の電話』という作品の温かさを象徴する言葉でもあります。

作品には東日本大震災で家族を失った主人公や、豪雨災害や原爆の記憶をもつ登場人物のような傷を負った人たちが登場します。以前の作品と比べて作風が変わったのでは、という観客からの質問に対して、海外での活動が中心になっている諏訪監督が久しぶりに日本に戻り、被災地だけでなく過疎化が進んだ地方や農村を見て、日本のコミュニティが傷ついていると感じたと言います。「以前と比べて傷ついている人が多くなった今、あらゆる映画のあり方を肯定していきたいと考えるようになった」とポジティブな力強い言葉で締めくくりました。

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