広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2015/11/22

11月21日(土)9:30~『鏡の女たち』上映後、吉田喜重監督と女優の岡田茉莉子さんによるトークショーが行われました。

11月21日(土)9:30からNTTクレドホール第一会場で『鏡の女たち』が上映されました。 広島に原爆が落とされた日から苦悩し続ける女性の生き様と、その孫娘の母親を探すプロセスを、サスペンスのように描く129分の作品。上映後、メガホンをとった吉田喜重監督と、主演女優であり妻である岡田茉莉子さんがステージへ。大ベテラン監督と大女優の登場に会場から大きな拍手が沸き起こる中、トークショーが行われました。聞き手は映画コメンテーターの鈴木由貴子さん。

『鏡の女たち』(2003年)は、60年代から話題作を撮り続けてきた吉田監督が、14年ぶりに製作した作品。 第55回カンヌ映画祭の公式招待作として特別上映されました。 また岡田さんの出演154本目、映画女優50周年にもあたる作品で、お二人にとって思い入れの強い作品です。

<ストーリー> 夏来(一色紗英)を生んですぐに失踪した娘・美和を、24年間探し続けていた川瀬愛(岡田茉莉子)。ある日、美和の母子手帳を持った女性がみつかったと連絡が入る。その女性は尾上正子(田中好子)という記憶喪失者だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカにいる夏来を呼び寄せる。やがて少しずつ甦ってきた正子の記憶は、愛が美和を生んだ地、広島へと3人を向かわせる・・・

トークショーで吉田監督は、戦時中に故郷の福井県で爆撃を受けた体験や作品を製作するにあたって、人間は体験した人にしか描くことができないのではないかという葛藤を語られました。

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岡田さんは、後半の見せ場となる、元安川のほとりで美和と夏来に自分の原爆体験を話す6分間のシーンについて、取り憑かれたように二晩かけて演じきれたのは「きっと元安川で亡くなられた方々の魂が私の中に入ってきて下さったのでしょう。このような経験は、長い女優人生の中でたった一度です」と話されました。構想から7年の歳月をかけて製作された同作品について、「監督が書斎でシナリオと葛藤している姿を長い間見ていましたが、完成したシナリオを、あなたの女優人生50年のお祝いだよ、と手渡してくれまして感動しました。またシナリオも素晴らしいもので読みながら涙が出ました」。さらに「のろけではありませんが、今も現役で女優をやっていられるのも、主人のおかげです。」と監督でもあるご主人への感謝の気持ちも伝えられました。

『鏡の女たち』の美術監督をつとめたのは、本映画祭を主催する部谷京子。吉田監督は「広島出身の部谷監督にお願いしたおかげで、一つの映像にも無駄がない作品になりました。それは美術の力です」とも話されます。 最後に、戦後70年にあたり、「原爆であれだけの被害にあった日本は見事に再生しました。その生命力を私は信じています」と強く語られました。

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