広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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Special Screenings
特別招待作品

ファミリア

作品概要
ファミリア
©2022「ファミリア」製作委員会


あらすじ


陶器職人の神谷誠治(役所広司)は、山里に独り暮らし。自宅の工房と窯で昔ながらの焼き物作りをしている。妻の晶子を早くに亡くし、唯一の家族である息子の学(吉沢亮)は、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任中だ。その学が、現地で結婚した相手の女性ナディア(アリまらい果)を連れて一時帰国した。 ナディアは幼い頃に紛争で家族を亡くして孤児となったが、難民学校で英語を学び、学のいるプラントの食堂で働いている。幸せそうな学とナディアの姿に目を細め、心から祝福する誠治。そんな誠治に、学は「会社を辞めて、ここで焼き物をやる」と告げる。驚いた誠治は学とナディアの将来を思い、「焼き物じゃ食えん」と反対する。誠治は児童養護施設で育ち、若い頃はかなりの荒くれ者だった。晶子と出会って心を入れ替え、焼き物に打ち込んだものの、貧乏で晶子に苦労をかけてしまったため、学には自分と同じ道を歩ませたくなかったのだ。しかし、学の決意は固く、ふるさとのないナディアもこの地で家族を作りたいと望んでいた。学は、3カ月後にプラントが完成したら会社を辞めて帰ってくるつもりで、ナディアとアルジェリアへ戻っていく。 誠治が隣町の保丘団地に住むブラジル人青年マルコス(サガエルカス)と出会ったのは、学とナディアが滞在していたときのこと。怪我をして半グレ集団に追われていたマルコスを一家で助けたのがきっかけだった。後日、マルコスの恋人エリカ(ワケドファジレ)が本人の代わりにお礼に訪れ、一家を団地のブラジル人たちのパーティーに招待。人付き合いの苦手な誠治も、学に背中を押されるようにして、学とナディアと一緒に出かける。初めて親しく触れ合ったブラジル人たちは、生活は厳しくても陽気で家族思いだった。 マルコスは5歳で家族と来日した。“ジャパニーズドリーム”を信じていた父親はリーマン・ショックによる不景気で会社を解雇され、自ら命を絶った。以来、マルコスは日本人を嫌っていたが、幼なじみで明るく気さくなエリカのおかげで、亡き父の面影が重なる誠治に次第に心を開いていき、焼き物の仕事にも興味を持つようになる。マルコスもエリカも、言葉がわからなくて学校の勉強についていけず、進学するお金もなかったため中卒だが、誠治も同じ中卒だと知ると親近感を抱くのだった。 マルコスは建設現場で働いていたのだが、団地の仲間マノエルと半グレとのトラブルに巻き込まれたおかげでクビになってしまった。半グレのリーダー、榎本海斗(MIYAVI)が地元の不動産業から風俗業までを牛耳っている榎本グループのトップの息子だからだ。かつて妻子をブラジル人にひき殺された海斗は、以来、すべてのブラジル人を激しく憎悪していた。 海斗に目を付けられたマルコスと幼なじみのルイ(シマダアラン)は、執拗に因縁をつけられ、500万円分のシャブを団地のブラジル人たちに売りさばくよう強要される。拒否すれば、家族のためにキャバクラ嬢として働いているエリカが、ヤク漬けにされて売春をさせられる……。マルコスの窮地を見かねた誠治は、同じ施設で育った刑事の駒田(佐藤浩市)に相談するが、榎本グループはヤクザまで配下に置いており、警察も頭を痛めているという。 一方、遠く離れたアルジェリアでは、学とナディアが、ある幸せな出来事を前に喜びに浸っていた。そんな折、事件が起きた。 アルジェリアから衝撃的なニュースが届き、二人のために奔走する誠治……。 やがて、マルコスが海斗に追い詰められたとき、誠治は思い切った行動に出る――。

キャスト


役所広司、吉沢亮、サガエルカス ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市

スタッフ


監督:成島出
プロデューサー:伊藤伴雄
脚本:いながききよたか
音楽:安川午朗
撮影:藤澤順一
照明:豊見山明長
録音:藤本賢一
美術:金田克美
装飾:大坂和美
編集:阿部亙英
スクリプター:赤澤環
衣装:宮本茉莉
メイク:田中マリ子
音響効果:岡瀬晶彦
陶芸協力:ポール・ロリマー

作品情報


制作年:2022年
上映時間:121分
制作国:日本
音声言語:日本語・ポルトガル語・英語

公式サイト

監督

準備中

成島出
1961年生まれ、山梨県出身。学生時代から自主映画を撮り、『みどり女』でぴあフィルムフェスティバルに入選する。94年から脚本家として活躍した後、役所広司を主演に迎えた初監督作『油断大敵』(03)で藤本賞新人賞とヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞。以降、『フライ,ダディ,フライ』(05)、『孤高のメス』(10)、役所広司主演『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11)など数々の話題作を手がける。『八日目の蟬』(11)は第35回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞など10部門を受賞する。本作の後、役所広司主演『銀河鉄道の父』が2023年公開予定。
【その他の作品】ソロモンの偽証 前篇・事件、ソロモンの偽証 後篇・裁判(15)、ちょっと今から仕事やめてくる(17)、グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~(19)、いのちの停車場(21)