広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2016/11/11

『女たち、女たち』ポール・ヴェッキアリ監督トークショー

11月11日(金)14時から広島映像文化ライブラリーで『女たち、女たち』が上演されました。上映後に、ポール・ヴェッキアリ監督によるトークショーが行われました。

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『女たち、女たち』(1974年)は、中年にさしかかった2人の女優が、酒を友に、壁に貼られた映画女優の写真に囲まれ、パリのアパートで一緒に暮らしているが、2人には共通する過去があって…という映画です。

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ポール・ヴェッキアリ監督は、映画誕生のきっかけ等を語り、観客の方々からの質問に答えました。

この映画を作るきっかけについて、監督は「パリの映画館から出たときに、立派な格好をした女性が立ち止まって、路上でお酒を飲んでいる浮浪者たちの様子を見ていたのを見かけたことです。最初は、浮浪者役をイヴ・モンタン、女性役をシモーヌ・シニョレ、姉役をダニエル・ダリューと考えていました。しかし、脚本の共同執筆者であるノエル・シムソロが、その配役にこだわっていたらこの映画は絶対撮れないよと言ったため、エレーヌ・シュルジェールとソニア・サヴィアンジュに出演を依頼しました。」と明かされました。

撮影について、「最初のシーンはワンショット(1つのシークエンスをカットを割らず連続して撮ること)で撮って10分40秒あるのですが、これを撮るのに2日半かかりました。この映画の撮影時間は11日間だったので、とても長くかかったことになります。エレーヌは舞台経験もある女優でしたが、ソニアの演技経験は少なく、2人の経験値が異なっていました。しかし、この2日半の撮影で、ソニアは時間が経つにつれて徐々に台詞が自分のものになり、3日目には2人のレベルが合いました。次の日は1日で40分も撮れました。」と語りました。

この映画で女優の名前をそのまま使用していることについては、「そのようにした理由ははっきりしないのですが、今思うと、彼女らが演技をしているとは思って欲しくなかったからかもしれません。2人が自分の家にいて、そして女の子2人が戯れているように2人で芝居をしている、そんな感じが出したかったのです。私は抽象的に考えていましたが、彼女たちが私の考えを理解してくれて具体化してくれました。」と話しました。

また、「この映画で、シャンソンはとても重要な役割を担っています。プロの歌手の録音を使用した口パクではなく、実際に俳優たちが歌っています。そうすることで、前のシーンとの連続性を保っています。例えば、ソニアが路上で、私はアル中と歌うシーンがあるのですが、これは軽い感じで歌っているように思えますが、前のシーンの怒りの感情が残っているのです。」

最後に、「この映画がベネチア映画祭で上演されたとき、パゾリーニ監督は偉大な作品と言ってくれたのですが、私は大笑いしてしまいました。パリで公開されたときは、1週間で1500人しか観客がいませんでした。しかし、今では30万人もの人が観てくれました。待ってみるものだなあと思いました。それと、私は溝口健二監督が大好きで、最初に設立した会社は“祇園”と付けたくらいです。」と笑顔でお話されました。

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