長谷川和彦
<プロフィール>
1946年1月5日、広島県賀茂郡西高屋村(現・東広島市高屋町)に生まれる。教師であった母は原爆投下の翌日に広島市内で放射能を浴び、当時5ヶ月の胎児であった長谷川は胎内被爆。被爆2世という境遇は長谷川の人生観にさまざまな影響を与えた。
広島市立皆実小学校、広島市立翠町中学校、広島大学附属高校を経て、1964年に東京大学文科三類に入学。アメリカン・フットボールに熱中し、フットボール部キャプテンもつとめる。ゴジラに由来する「ゴジ」の愛称は当時からのもの。東大に5年在学したが、途中、文学部美学科から英文科に転じ、かねて関心のあった映画監督の仕事を志すようになる。
76年、今村昌平と日活の名プロデューサーであった大塚和の製作でATG「青春の殺人者」を監督。30歳の大物監督デビューとして話題となるが、センセーショナルな題材を図太く且つ繊細な演出で凝視した作品は絶賛を浴び、同年度のキネマ旬報ベスト・テン第1位、監督賞、脚本賞、主演男優賞・女優賞を独占するという快挙をなしとげ、長谷川和彦は一躍時の人となる。
3年後の1979年にはキティ・フィルムで「ザ・ヤクザ」の脚本家である親日家のレネード・シュレイダーの原案・共同脚本をもとに山本又一朗プロデューサーと組んで監督第2作「太陽を盗んだ男」を発表。日本映画の枠を超えたスケール感と迫力みなぎる演出でエネルギッシュに映像化。前作に続いてキネマ旬報ベスト・テン第2位、読者選出ベスト・テン第1位、毎日コンクール日本映画優秀賞・監督賞をはじめ圧倒的な評価を集める。
長谷川自身は決して「伝説の監督」の威光に甘んずることなく、あいかわらず新作への闘志をたぎらせている。2014年現在、その長き沈黙は35年にも及ぶが、依然として映画人やファンによる次回作への激しい待望がやまないという稀有な存在である。
/ Special Screenings特別招待作品
青春の殺人者
- 上映スケジュール
- 11月15日(土) 13:00
- 作品概要
<ストーリー> 千葉県の郊外。父の援助で順がスナックをオープンしてから3ヶ月が経とうとしていた。順の幼なじみで恋人のケイ子がウエイトレスとして住み込みで働いていたが、2人の仲をよく思わない両親と順との間にはいさかいが絶えなかった。それは母が買い物から帰宅したときだった。順が父の死体の前で呆然と佇んでいた…。 実際の親殺し事件を取材した中上健次の短編小説「蛇淫」を映画化した、長谷川和彦監督のデビュー作。初監督にして骨太で新鮮な演出は公開されるや、キネマ旬報ベスト・テン第1位など各賞を総ナメにする高い評価を得て、長谷川和彦は第1作で早くも日本映画を担う存在として大きな注目を集めた。
<キャスト>
水谷豊
原田美枝子
内田良平
市原悦子
白川和子
桃井かおり
江藤潤
地井武男<スタッフ>
監 督:長谷川和彦
脚 本:田村孟
原 作:中上健次
企 画:多賀祥介
製 作:今村昌平
大塚和
撮 影:鈴木達夫
美 術:木村威夫
音 楽:ゴダイゴ
録 音:久保田幸雄
照 明:伴野功
編 集:山地早智子
助監督:石山昭信- 監督