広島国際映画祭 HIROSHIMA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL

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2021/11/20

海外監督による『短編ショーケース』録画トークを上映

 11月20日(土)17:30から広島市映像文化ライブラリーで、海外監督による短編映画4作品が上演されました。上演後には各監督へのオンラインインタビュー形式の録画トークも上映。

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『猫とハエ』ツァオ・シーハン(監督) 聞き手:安田女子大学ジョン・マクリーン准教授

映画では漁師と売春婦が登場しています。なぜ、こういった社会層をテーマにしたのですか

――実際に港を訪れて苦しそうな生活を目の当たりにしました。しかし、その生活の中で彼らは生きることに前向きで、その姿を描きたいと思いました。私たちは豊かな暮らしをしていますが、その生活の中で困難もあります。困難に慣れていない、豊かな暮らしをしている人はメンタルが弱く、貧しい暮らしをしている人はメンタルが強いように思います。そのような互いの精神の関係性を描きたかったです。

映画を見る方に伝えたいメッセージはありますか

――一見、彼ら(扇風機を盗んだ漁師と売春婦)がしていることは悪いことに見えるでしょう。しかしそれらの行動は彼らが生きるために行っていることです。批判をする前にその行動の意味を考えてほしいです。彼らの生活を知ってほしいです。また、貧しい暮らしをする彼らは笑顔を絶やしていない、そんな彼らから私たちは学ぶべきだと思います。

 

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『スウィンギン』グオ・シャン・シング(監督) 聞き手:安田女子大学ジョン・マクリーン准教授

映画の中で同性愛者の親を持つ子をいじめるシーンがありましたが、親が差別的偏見を持つ場合その子供のいじめは正当化されると思いますか

――この問題についてはすべての親に考えてほしいです。台湾では今、そういう課題がたくさんあります。育児に関する問題や、同性愛者のパートナー間の子供を引き取るのか、精子提供により授かるのかという問題もありますしね。

同性愛の二人の父について、「男らしい父、女らしい父」と一般的な男性像と女性像を使ったのはなぜですか

――この作品はすべての親を対象にしています。異性愛者の親でもプレッシャーを感じることなく見られるように意図しました。ありふれる親の像を用いることで映画の構図に、より注目してくれるとも思いました。

映画を見ている人に一番伝えたいことは何ですか

――観客が感じた前向きな力や感情を大切にしてほしいです。かくれんぼのようなもので、こちらの意図を全部でなくても感じ取ってほしいです。そしてとにかく前向きになってほしいです。

 

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『ぶらぶらタイガー』アナスタシア・ファリレイエヴァ(監督) 聞き手:広島フィルム・コミッション西崎智子

なぜ日本が舞台なのですか

――私は日本の文化の大ファンです。宮崎駿監督、新海誠監督、細田守監督などを尊敬しています。日本についての自身の一回目の作品がうまくいったので、この二回目の作品、そして次の三回目の作品も日本について撮ろうと思いました。

カツミのキャラクターは自身を投影したものなのでしょうか

――それは本当に私自身です。半分ドキュメンタリーだと思っています。これまでの私自身の悲しい経験とそれを克服する方法を示して、希望を示したいと思いました。そして、もっと作品と観客を結びつけるために、アニメーションではなく実際に私が登場しました。

作品の冒頭に「この作品ではごみを使っています。そしてそれに命を吹き込んでいます」とありますが

――これは自身の一作目でも行いました。消費社会の宿命といいますか、どれだけのものを捨てているのかを表したいと思いました。リユースが大切だということも表したいです。また、撮影がより安く済みますし、地球に優しいですしね。

 

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『私はいつも手袋を忘れるの』ナターリャ・ベロワ(監督) 聞き手:木下順介(俳優)

なぜ俳句というテーマを選んだのですか

――子供のころから俳句に親しんできていて、俳句の世界観が好きです。小さなころから俳句を書いて、コンクールに出したりもしていました。

映画を通して日本の皆さんに伝えたいことは何ですか

――恋愛する男女は常に何かを抱えています。そして男女間の食い違いが必ずあります。それを表現したいと思いました。その微妙な感じが日本に伝わればいいと思います。

どのようにキャスティングしましたか。

――女性は子供からの知り合いで外見がぴったりだったので。男性は女性と合うような、すれ違いを表現できるような人をいろんな劇場を回って見つけました。ロシア、欧州では短編映画が評価されているので、日本の皆さんも短編映画を撮ってほしいです。(木下)

日本に来たことがないと聞きましたが、日本についてはどう思っていますか

――イメージとしては魂というものを感じます。繊細で清潔で、いらないものがそぎ落とされてシンプルで、そういったイメージが重なった様式美を感じます。すべてをオープンにせず、神秘的でまるでおとぎ話のような世界観です。それらを作品で表現しました。実際に日本に来て体験したいです。

映画を通してロシアのことを知ってもらえると嬉しいです(木下)。

 

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