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11月23日(土)10時から、NTTクレドホール第1会場で『マイマイ新子と千年の魔法』の上映が行われました。
本作は芥川賞作家の高樹のぶ子さんが自らの幼少期をつづった自伝的小説『マイマイ新子』をアニメ映画化したもの。昭和30年代の山口県防府市・国衙(こくが)を舞台に、想像力豊かな新子が転校生の貴伊子や仲間たちと過ごした日々が描かれています。11月21日(木)には東京都の新宿ピカデリーにて、公開15周年を祝う上映会も行われるなど多くのファンから長年愛されている作品です。
上映後には片渕須直監督が登壇。広島フィルム・コミッションの西崎智子さんを聞き手に、トークショーが行われました。2011年から広島国際映画祭に毎年参加している片渕監督を西崎さんが「広島国際映画祭の永久レギュラーです」と紹介すると、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
片渕監督は本作の舞台挨拶のため、14年前に初めて広島を訪れたといい「マツダのシートが置かれていたり、天井に天使がいたりした鷹野橋のサロンシネマが広島の原体験。もっとこの町を見つめたいという気持ちが『この世界の片隅に』の制作につながっていきました」と広島への思いを語りました。
「新子のストーリーも『この世界の片隅に』につながっているんですよね」と西崎さんが尋ねると、「新子は戦後生まれですが、新子のお母さんは戦時中に結婚して新子を身ごもっています。昭和20年、『この世界の片隅に』のすずさんは20歳で、原作を書いた高樹さんのお母さんは19歳。『マイマイ新子と千年の魔法』も戦争と切り離すことはできない作品です」と話した片渕監督。二つのストーリーをつなぐアイテムとして、作中にタンポポが描かれているというエピソードも紹介されました。
トークショーの後には、次回作である『つるばみ色のなぎ子たち』のパイロット版を上映。疫病の中に生きる1000年前の人々を描いた作品です。西崎さんが「片渕監督は実証されたものしか描かれないと思うのですが、何か実験などされましたか?」と質問すると、片渕監督は「牛車の車輪の大きさを割り出して牛が歩く速度を調整したり、スタジオでボウフラを養殖したりしました」と回答。緻密な描写を追求している制作の裏側に、本編への期待がますます高まるひとときになりました。
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