ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

70年間紡がれてきた思いを紐解く 『原爆資料館~語り継ぐものたち~』上映と監督によるトークショー

1130日(日)午後4時から、NTTクレドホール第1会場で『原爆資料館~語り継ぐものたち~』の上映が行われました。

本作品は、広島ホームテレビの開局55周年企画として作成された原爆資料館のドキュメンタリー映画です。長岡省吾初代館長のエピソードに始まり、歴代の館長や学芸員、関係者の方々への取材を通し、70年間の歴史を振り返ります。

上映後には、斉藤俊幸監督と立川直樹監督によるトークショーが行われました。聞き手は映画コメンテーターの鈴木由貴子さんです。

普段は広島ホームテレビの報道部で活動している斉藤監督と立川監督。映画製作の経緯について立川監督は「平和に関するドキュメンタリーを制作していると、気づけば原爆資料館に接していることが多いです。そこで今回は原爆資料館を主軸にしようと考えました」と話しました。斉藤監督は、製作にあたり100時間を超える過去の取材映像を見返したそうです。「先輩方の取材を見て、学ぶところがたくさんあった」と振り返りました。また、製作時について立川監督は「歴代館長や学芸員、関係者の方々がそれぞれに思いを持っていらっしゃいます。104分にまとめるのはとても大変でした」と語りました。

2023年には第49回先進国首脳会議(G7サミット)が広島で開催され、2024年には日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞する等、原爆資料館への注目は増すばかりです。2024年度の来館者数は約226万人と、過去最高を記録しました。映画冒頭にある現在の原爆資料館を映すシーンでは、外国人観光客の姿が印象的です。立川監督は「外国の方にもこの映画を見てほしいですが、できれば直接原爆資料館に来て、その目で見たうえで映画も見て頂きたいです」と語りました。

最後に斉藤監督は「55年分の取材映像は、原爆資料館の歴史でありながら取材の記録でもあると思います。『今』を取材する記者として、私も未来につないでいきたいです」と平和への思いを語りました。また立川監督は「今後10年、20年そして100年後まで見て頂きたい映画です。今年は戦後80年ですが、80年分の歴史を未来につないで行けるように、これからも作っていきたいと思います」と今後の活動へ意欲を高めました。

会場からの盛大な拍手の中、トークショーは幕を閉じました。