ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

森ガキ侑生監督 ティーチイン「映画はどこから生まれるのか―現場と心のあいだで」

1130日(日)15:00よりNTTクレドホール第2会場にて、森ガキ侑生監督のティーチイン「映画はどこから生まれるのか―現場と心のあいだで」が開催されました。司会は映画コメンテーターの鈴木由貴子さんです。

監督は「映画がどのような形で世の中に出ていくのかと、どのような映画の見方があるのかということについて話したいです」と話し、はじめに自身の作品を1分にまとめた動画を披露。CMから映画制作にキャリアを広げている監督の作品には、誰もが知っているCMも多く会場から驚きの声が上がりました。

まず監督の思いが語られ、「映画はエンターテイメントの作品と社会的テーマの作品で分かれています。前者はテレビ局やプロデューサーの企画が多く、後者は監督自身が企画して始まることが多いです。僕は社会的テーマがあるかで仕事を受ける判断をしています」と、社会性を重視している姿勢を明確にしました。

 

CMは商品が売れることや企業価値を生むことがテーマとなりますが、映画は人の心にどうやったら残るか、いかに生きる方向性や勇気を与えられるかというところにテーマがあります」と、熱く語りました。監督自身が高校時代に映画『ショーシャンクの空に』を見たことが映画監督を目指すきっかけになったとも明かしました。

「映画にはエンターテイメント性だけでなく、社会的テーマによってその国の状況や抱える問題について議論するきっかけを作る力があります」。また「デジタル社会では、効率的で刺激的なコンテンツが欲しがられます。映画は真逆のコンテンツですが、勝てる所としては社会性であると考えています」と語りました。

映画の作り方について「自分が今何を伝えないといけないのかを考えます。手法として、どうエンターテイメントに紛れ込ませるかが大事になりますね」とも。

最後に来場者から、AIの急激な普及に対する監督の考えについて質問がありました。監督は「AIに対する恐怖はあります。AIで映画も作れると思いますが、AIができないことをするためには苦労や体験などの『過程』が人間にとって重要です。映画にはまだチャンスがあることをみんなで語り合うということができる」と、来場者に投げかけました。