11月30日(日)13:15からNTTクレドホール第2会場にて、福山大学のメディア・映像学科講師の梶川瑛里さんによるワークショップ『映像の鑑賞の仕方』が開催されました。
「まずは、このような機会をいただき、多くの方にお集まりいただき感謝の言葉を申し上げます」とにこやかな挨拶からワークショップが始まりました。梶川瑛里さんは大学で映画の鑑賞の仕方について学んで以来、映画好き歴は約10年になるそうです。

はじめに梶川さんの自身の軽い自己紹介が行われ、続いて参加者同士で隣の人と最近見た映画のタイトルを話し合うウォームアップを実施。会場の空気がほぐれたところで、ワークショップの目的が語られました。今回の目標は“なぜ映画に心が動かされるのか”を言葉にできるようになること。言語化することでより“深く”、テクニカルな側面について知ることでより“広く”、映画を好きになってほしいと語りました。映画の内容やテーマも大切ですが今回は特に“動くこと”という映像ならではの良さを知ってほしいそう。『折り鶴と蒼い蛙』の一部や、リュミエール兄弟の『赤ん坊の食事』『ラ・シオタ駅への列車の到着』などを鑑賞しながら、映画の鑑賞の仕方を説明されました。映画は「ミザンセン」「編集」「動きと語り」の3つに着目して見ると良いそうです。ミザンセンとは、画面の人や物の配置、照明などをどのように並べ、動かし、見せるかということ。人物の構図や照明の明暗により映画の雰囲気や印象が表現されます。編集(cutting)とは画面やシーンをどのように割り、つなぐかということ。例えば、走るシーンでは画面やシーンを細かく割り、静的な会話シーンとの対比により走るリズミカルさを演出しています。加えて、動きと語りにより感情のダイナミズムが生み出されます。「映画は映像技法の宝庫。映像を観ることには、撮影者も意図しないものや、日常で意識の底に埋没している”動き”を見る原始的な喜びがあります」と語りました。
映画の鑑賞の仕方を学び、ワークショップの締めくくりには再び『折り鶴と蒼い蛙』を鑑賞。参加者は真剣なまなざしで作品を見つめていました。鑑賞後には感想共有の時間が設けられ、会話が絶えず盛り上がっていました。感想共有の時間には梶川さんも参加者の間を歩き回りながら、参加者と一緒に楽しげに意見交換をされていました。和やかな雰囲気のなか、会場からの拍手とともにワークショップは幕を閉じました。
