ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

「見る」ではなく「乗り込む」映画 『次元を超える』広島で熱狂の一日

11月30日(日) 10:00、NTTクレドホール第1会場で『次元を超える』が上映されました。本作は、孤高の修行者・山中狼介(窪塚洋介)が失踪し、暗殺者・新野風(松田龍平)がその行方を追い、時空を超えて過去から未来へ、そして日本から地球、宇宙へと広がる壮大な物語となっています。

メガホンをとったのは、第39回日本映画監督協会新人賞、第3回みちのく国際ミステリー映画祭新人監督奨励賞などを受賞した豊田利晃監督。本作で主演を務めたのは、『GTO』『ピンポン』『ヘルタースケルター』などに出演している、窪塚洋介さん。

上映後のトークショーでは、豊田利晃監督と主演の窪塚洋介さんが登壇し、会場からの温かい拍手に包まれました。司会を務めたのは、フリーパーソナリティーのキムラミチタさんです。トークショーの冒頭、監督は「この映画を見終わった後、口がぽかーんとしている人がいると思います(笑)人によって感じ方が異なる作品だと思います」、窪塚さんは「本作は“見る”というより、“乗り込む”という感じの作品だったと思います」と伝え、トークショーでは松田龍平さんや千原ジュニアさんとの撮影裏話など、ここでしか聞けない貴重な話をされました。



豊田監督が『次元を超える』を構想するきっかけとなったのは、友人を通じて触れた密教の世界と法螺貝(ほらがい)の体験です。山中で響く法螺貝の音に圧倒され、その魂に直接届くような振動が作品づくりに大きく影響したといいます。本作は「狼蘇山(おおかみよみがえりやま)シリーズ」の流れを汲みつつも、1本で独立した物語として楽しめる構造。過去作品とゆるやかに繋がる“パラレルな関係性”があり、観客の数だけ解釈が広がるのが魅力です。監督自身もストーリーを固定しすぎず、役者の存在や現場のエネルギーから物語が立ち上がることを重視したそうです。SF的な発想を持ちながら、魂や次元をテーマに、揺れ動く世界に挑んだ集大成となっています。

トークショーの後半では、観客からの質疑応答がスタート。監督による短編作品と長編作品との違いに関する話や、窪塚さんの役者魂・生き様に迫る話が繰り広げられました。トークショーの最後では、「また新しい映画を作ったら広島に戻ってきます」と豊田監督。窪塚さんは「豊田さんとの仕事は、ライフワークだと思っています。豊田組と仕事をさせてもらってとても幸せです。これからも楽しいクリエイションをしていきますので、また広島国際映画祭に呼んでください」とメッセージを残しました。