ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

国際短編映画コンペティション リン・チェンユー監督インタビュー 人間性を深く見つめることで、世界と自分との関係性が見える

リン・チエンユー監督にインタビューを行いました。
「なぜこの作品を作ろうと思ったのですか」という質問に、監督は自身の創作テーマについて、「私はいつも“人間性”についての映画を作るのが好きです」と語りました。「映画を作る時、人間性を深く見つめることで、世界と自分との関係性が見えるのです」と語りました。また、「この映画では、寂しさや、人が迷った時に見せる弱さを描きたかったのです。特に女性は、大人になると、いつの間にか“感情を感じないようにしてしまう”ことがあるのではないでしょうか。寂しさやつらさは誰もが抱えているもので、一人ではないということを表現したいと思いました」と話しました。
次に、「なぜ主人公に“鍵師”を選んだのか」聞いてみました。
監督は、「鍵師という職業は、人々の生活空間・プライバシーを行き来できる特別な仕事である」と感じているそうです。そしてまた、監督の家の近くには鍵師が住んでおり、その鍵師はお店の中にベッドもタオルも工具も、生活に必要なものは全て揃っており、その人をみて「この人はどんな人生を送っているのだろう」と思い、鍵師を主人公にした物語を作ることにしたのだそうです。
映画の最後に、主人公の鍵師が鍵を開けたシーンで、彼はなぜ“青い扉”を開けることができたのかと聞くと、監督は「本当は最後まで彼に扉を開けさせたくなかったのです」と鍵師の世界には“力づくで開けてはならない”というルールがあることを説明した上で「優れた鍵師である彼が、最後に力づくで扉を開けてしまう。その行為の中に、彼の弱さと葛藤を込めました」と話しました。
「広島国際映画祭はとても温かく私を迎えてくれます。皆さまの歓迎に感謝していますし、観客の皆さんからのリスペクトを強く感じています。ここに来られて本当に良かったです。」と微笑みと共に、広島国際映画祭へ嬉しいメッセージをいただきました。