11月29日(土)19:10よりNTTクレドホール第2会場、国際短編映画コンペティションにて『泣かないライオン』が上映されたハン・ウォニョン監督に、トークショー終了後インタビューを行いました。トークショーでの監督のお話を基に、作中のシーンについての詳細や、モデルとなった江陵市の山火事被災者への想い、広島国際映画祭に作品を出展することの意義について聞くことができました。

インタビューではトークショーの内容を踏まえ、3つの質問に答えていただきました。まず1つ目に、「夢の中」のシーンで作品のメッセージを伝えていたり主人公家族の感情を表したりしていると語ったことに対して、なぜ重要なシーンを「夢の中」で描いたのかと伺いました。監督は、「自身の家族が互いを心配したり大事にしていたり愛していたりする感情を直接伝えることが無いため、想いを直接伝える方法が分かりませんでした。しかし、それはもしかしたら『夢の中』かもしれないと思い『夢の中』で家族が思いを伝えるシーンを撮りました。」と語りました。
続いて2つ目に、長編で描くなら小学生の息子(ジミン)に加え中学生の姉も登場させたい、と語ったことに対してその意図を伺いました。監督は、「小学生・中学生・大人は環境が違い、それぞれ影響を受けるものや勝たなければいけないものが違います。それを描きたくて登場させたいと思いました。」と語りました。
3つ目の質問として、作品を長編にするならば、短編では描かれなかった江陵の被災者の痛みを描きたいと語った意図について伺いました。監督は、「山火事のシーンを撮っていましたが、制作時まだ災害から月日が経っておらず、被災者のトラウマに配慮して災害のシーンをカットしました。被災者である友達の為に作った映画でしたが、その友達が映画をすごく気に入ってくれました。それを踏まえ今は、被災者の痛みを描くことで他の地域に住んでいる人にもその痛みを分かち合いたいという想いがあるために、被災のシーンを描きたいと思っています。」と語りました。
最後に、広島国際映画祭に対してのメッセージをお願いしました。すると監督は、「喜びは分かち合えば2倍、痛みは分かち合えば半分」という韓国の言葉を引き合いに、「今回広島国際映画祭で上映され広島の人と災害の痛みを分かち合ったことで、江陵の被害者の方々の痛みが減らせたのではと思い嬉しく思っています。」と語りました。
このようにインタビューを通して、作中のシーンの意図やモデルとなった江陵市の山火事被災者への思い、広島国際映画祭で映画が上映されることの想いについて、監督に伺うことができました。
