ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

アイドルが恋をするのは罪なのか?『恋愛裁判』の制作秘話に迫る

11月29日(土)19:00から、NTTクレドホール第1会場で『恋愛裁判』の上映が行われました。本作の監督は、『歓待』や『淵に立つ』等の作品で国際的にも評価をされている深田晃司監督。本作は、第78回カンヌ国際映画祭や第30回釜山国際映画祭に出品されるなど、海外でも注目を浴びています。

上映後、深田晃司監督と「ハッピー☆ファンファーレ」のメンバー三浦美波役を務めた今村美月さんによるトークショーが開催されました。 聞き手は、フリーパーソナリティのキムラミチタさんです。

監督が作品の構想を始めたのは2015年頃、あるアイドルが所属事務所から損害賠償請求を受けたというニュースを目にしたのがきっかけでした。記事の内容に対する驚きと共に、アイドルの煌びやかな曲線的な世界と法廷の直線的で厳かな世界の対比に面白さを感じたといいます。

本作に登場するアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のキャスティングについて、主演選びが難航していたと語る深田監督。三浦美波役の今村さんは「自分なりのアイドルを魅せつつ、オーディションをやり切った」と当時の心境を語りました。 また、今村さんは、元STU48のキャプテン経験を活かし、作中のライブシーンやMCのアドリブでリアルなアイドル像を創り上げることに大きく貢献したとのこと。深田監督も、今村さんの存在に大きく助けられたといいます。

アイドルの日常と裁判という異質の要素が融合した本作。

監督として打ち出したかった思いを聞かれた深田監督は「映像メディアの影響力やプロパガンダ性に触れつつ、作品を単純化するのではなく、複雑なものは複雑なまま提示している」と語ります。 アイドルや自由、人権など、観客それぞれが考えるきっかけになるよう余白を残した作品を目指したと想いを明かしました。

また、本作は海外の映画祭にも出展されています。海外での上映をとおして、本作がまさに見る人のアイドルに対する意識が映る鏡という役割を果たしていると感じたと深田監督は語りました。

広島出身の今村さんは、STU48の最終オーディション会場でもあったこの場所に「俳優としての新たな始まりをこの場所で迎えることができて嬉しい」と語り、深田監督も尾道で脚本合宿を行うなど、作品と広島との縁に言及しました。