ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

「色を付けることで明るくなる、平和になる」とある被爆者は語った

11月28日(金)11時からNTTクレドホール第1会場で、広島国際映画祭2025 オープニング作品として、広島出身の庭田杏珠監督の「記憶の解凍」の上映が行われました。
上映後、監督と、作品内のアニメパートを監修した片渕須直監督とのトークショーが開かれました。司会は、映画コメンテーターの鈴木由貴子さんです。

「AI技術や当時の資料、戦争体験者との対話をもとに、原爆投下前後の日常の白黒写真をカラー化する「記憶の解凍」を高校時代から行ってきたことの記録が、まさかこの映画祭で上映されるとは思わなかった」と初めに監督は嬉しそうに語りました。更に「仕事が終わってからの編集作業で大変だったけど、戦後80年の今年だからこそ上映することに意味があると思い頑張りました」と付け加えました。
制作動機について聞かれると、「着色した写真を見ることで、あの時代の生活が身近に感じられると言われ、ならばこれを映画化すれば、平和公園に昔、普通の生活の営みがあったと伝えることができるのでは?と思ったことが動機になった」と語りました。

片渕監督に、アニメーションでどういう監修をしたのかと問うと
「僕より、うちの映像作家の野村健太さんが力になっていた」と回答。
それを受けて「イラストを誰かに頼むのではなく、自分で描くべきと説得され、帰宅後に作画、それを深夜、野村さんがアニメーションに仕上げた」と明かしてくれました。
「この映画は、『この世界の片隅に』の日常の表現を補完してくれるものかもしれない」
という片渕監督の言葉に、笑顔で答える庭田監督でした。

お二人のトークの後、シンガーソングライターのHIPPYと作曲家/ピアニストのコラボレーションで劇中歌「平和色の写真」と「COLOR OF MEMORY」が生演奏で披露され、観客を魅了してトークは終了しました。