ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

国際短編映画コンペティションB 監督によるトークショーが行われました

深く考えさせる三作 コンペティションB
1129日(土)19:10からNTTクレドホール第2会場で、国際映画コンペティションBが行われました。ハン・ウォニョン監督の『泣かないライオン』、リン・チエンユー監督の『鍵師』、ミッキー・ライ監督の『洗浄』の三作がノミネートされ、上映後には監督を迎えたトークショーが実施されました。このコンペティションで、「ヒロシマグランプリ」、「審査員特別賞」、「観客賞」が決められます。

ハン・ウォニョン監督の『泣かないライオン』は、山火事で被災した家族が見知らぬ土地で新たな生活に適応しようとする姿を描いた作品です。監督は「家族の関係性の描き方に特に工夫した」と語り、家族に関する表現が作品のメッセージにもつながっているといいます。この作品を長編化するとしたらどのようにしたいか尋ねられると、家族の人数を増やしたり、被災者が抱える痛みをさらに深く描いたりしたいと話していました。人々の生活に寄り添った物語を描く監督らしい作品となっています。

リン・チエンユー監督の『鍵師』は、腕利きの鍵師が恋愛の悩みをきっかけに、別の人生へと歩み出す姿を描いた物語です。監督は、スピードの速い現代社会において「なぜここにいるのか」「なぜこの決断をしたのか」を見つめ直すことが大切だと語りました。こうした問いが作品の中心にあると話し、その考えが物語へ反映されています。

ミッキー・ライ監督の『洗浄』は、マレーシアの訓練キャンプで清掃作業を命じられた女子グループが、その過程で互いの関係に揺らぎを生む様子を描いた作品です。この物語は監督自身の10代の経験に基づいています。価値観を押し付けられる側の10代と押し付ける大人の対比に加え、かつての「従うしかない」状況と、今では「抗うことができる」という変化も表現されています。

コンペティションBには、考えさせられる作品が多く、上映後に「難しい」という声も聞かれました。そんな中、観客は監督たちの思いや背景を知るため、遅い時間にも関わらず多くの人がそれぞれの監督の話に熱心に耳を傾けていました。