11月29日(土)17:40よりNTTクレドホール第2会場にて、国際短編映画コンペティションノミネート作品が上映されました。全6作品のうち、台湾で失踪した息子を追うマレーシア人の父親を描く『迷子のマレーの虎』、ベトナムとカンボジア国境のボートピープルに着目した『川は静かに流れる』、千羽鶴の少女を知りたい少年の広島への旅を描いたChavo(チャボ)監督の『折り鶴と蒼い蛙』が続けて上映されました。
会場に3作品の余韻が残るなか、18:40より、『迷子のマレーの虎』ベニアル・スー監督、『川は静かに流れる』マイ・フェン・チー監督、『折り鶴と蒼い蛙』主演俳優の坂本翔絆さんによるトークセッションが行われました。聞き手は、広島市映像文化ライブラリー主事の森宗厚子さん、通訳はポーリーン・ボールドウィンさんです。

台湾での自身の経験から『迷子のマレーの虎』を製作したベニアル・スー監督は、息子が父に疲れたと伝えるシーンは、自分が父に言いたいことだったと振り返ります。もし長編にする場合は息子にフォーカスを当て、マレーシアと台湾の生活の違いから彼が鬱になっていく様子を描きたいと語りました。

『川は静かに流れる』に出演した大柄な女性は、現地のコミュニティで生活する人であり、彼女を観客にしっかり見てほしいとマイ・フェン・チー監督。彼女がワハハと笑うシーンを使うために、不自然な映像になることを承知で構成し直したそうです。シーンを再現する監督に、会場の雰囲気もふっと柔らかくなりました。長編映画『THE RIVER KNOWS OUR NAMES』(2024)も必見です。

広島で撮影した『折り鶴と蒼い蛙』に出演した坂本さん。坂本さんも今回の撮影で初めて広島や、原爆の像を訪れたそうで、映画は「僕の素の表情」だったと説明してくれました。坂本さんの印象に残っているのは、父が子を見つけるシーン。大声で泣く演技を夜中にしていたため、近くのアパートの住人がベランダから大勢見物していることに気づいた坂本さんやスタッフは警察を呼ばれてもすぐ逃げられるよう荷物をまとめての撮影だったと話すと、会場が笑いに包まれました。