ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

愛と喪失が広島で交錯するストーリー 『愛の残灰』上映と監督・ゲストによるトークショー

11月29日(土)16:20から、NTTクレドホール第1会場で『愛の残灰』の上映が行われました。

本作品の舞台は広島県です。妻を失った男性ヒョンスと、離婚を目前に控えた女性ユンジュの偶然の出会いから物語は始まります。原爆ドームや広島城、マツダスタジアム等の名所を巡りながら、登場人物達は自身の愛と向き合っていきます。

上映後には、チョ・ソンギュ監督とゲストで俳優のベク・ソビンさん、ミラムさんによるトークショーが行われました。聞き手はフリーパーソナリティのキムラミチタさん、そして通訳はイ・ギョンスさんです。

本作品の撮影で初めて広島県に来たと話すミラムさん。印象について聞かれると、日本語で「広島が1番好きです」と話し、会場は温かい空気に包まれました。また、撮影時に印象に残った場所について聞かれたペクさんは、作中の重要な場面で登場するグランドプリンスホテル広島を挙げました。また、ミラムさんは「場所や空間よりも、撮影時にお世話になった人々との交流が記憶に残っています」と語り、撮影関係者へ感謝の気持ちを伝えました。また、本作品の主題についてソンギュ監督は「愛に対する考えを描きたかったです。愛というのは時間が過ぎると変わってしまうのか、という疑問を投げかけながら生きていくのが人生だと思います」と語りました。

トークショーでは、観客による質疑応答も行われました。本作品では、映画『ヒロシマモナムール』が度々登場します。ソンギュ監督は「私自身、とても好きな映画です。登場人物が過去を回想しながらストーリーが進む構成や、映画のラストシーンを駅で撮影している所は、確かに似ているかもしれません」と話しました。また、表現が難しかったシーンについて聞かれたソビンさんは「特定のシーンというわけではありませんが、役柄の微妙な感情の流れを表現するのはとても難しかったです」と撮影を振り返りました。
最後にソンギュ監督は「1番好きな日本語は『いつか』です。いつかこの場での出会いが思い出になるように、これからも頑張っていきたいと思います」と観客にメッセージを送りました。会場いっぱいに響く大きな拍手を送られ、トークショーは幕を下ろしました。