ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

たくさんの子供たちに見てもらって考えてもらいたい

11月29日(土)16時から、NTTクレドホール第2会場で『日系カナダ人』の上映と、アリス・イル・シン監督と川邊ブラウン英子プロヂューサーのトークショーが開かれました。司会は、広島映像文化ライブラリーの森宗厚子さんです。映画はカナダでの差別、収容所での暮らし、原爆投下後の広島への帰国など波乱万丈の人生を生きたヘンリー隆典(りゅうすけ)柴田さんの回顧録の短縮版。

初めにアリス監督は「日本語でQ&Aを受けるのは初めてで緊張しています」と発言、「広島に来るのは今年2度目だが、作品上映は初めて」と語り、山口県岩国市出身の川邊さんは「子供時代の平和学習で見せられた原爆の写真がトラウマで、今まで広島には来たことがなかった」と明かしました。主人公ヘンリーさんとの出会いは、知人から聞いた日系カナダ人の収容所の話に興味を持ち、体験者をフェイスブックで募ったことから始まりました。「ヘンリーさん以外にも何人かの方が体験談を話してくれたのは、自分が日本人でもカナダ人でもない韓国人だったから」ともアリス監督は語っていました。

制作時の困難について、川邊さんはコロナの影響を上げ「そのせいで5年もかかって大変だった」と告白。さらに「ふたりともドキュメンタリー映画は初めて。手探りで方法論を探り、試行錯誤を繰り返した」と話しました。映画で使う古い資料(写真や映像)を集めるのも大変で、専任のアーキビストや原爆資料館に協力してもらいなんとか収集したそうです。日系カナダ人の収容所について、今のカナダ人は知っているのかとの問いに「高校の授業で教えることもあるが、それも教師次第だからみんなが知っているとは言えない」と、川邊さんは答えました。

最後にこれからのことを聞かれ、アリス監督は「移民・難民をさらに掘り下げたい」、川邊さんは「この短縮版をたくさんの子供たちに見てもらい考えてもらいたい」と答えてトークは終了となりました。