11月29日(日) 15:00からNTTクレドホール第2会場で『名誉と犠牲:松本ロイの物語』の上映、その後ロイ・マツモトさんの娘であり共同プロデューサーの松本カレンさん、ロイ・マツモトさんの甥であり本作のアドバイザーの大内斉さんとのトークショーが行われました。聞き手は、広島市映像文化ライブラリーの森宗厚子さんです。

本作は帰米兵として第二次世界大戦中で功績をあげられたロイ・マツモトさんを通して日本とアメリカをまた違う角度からとらえた作品です。そのドキュメンタリーとしての貴重さから2014年にはErikBarnouw賞、アメリカ州及び地方史協会からHistoryInProgress賞を受賞しました。

戦前アメリカで生まれたロイ・マツモトさんは父親のルーツである広島に戻り日本語の教育を受け、アメリカに戻ります。その能力を活かし戦争中には「メリルのマローダーズ」というビルマロードを開通させるという過酷な作戦において14人いる二世言語学者の一人として参加されその言語能力と勇気ある行動で仲間の命を救いました。そのことを扱った本を大学の先生から偶然カレンさんが紹介されたことから今まで知らなかった父親の姿を知ることになり、その物語を本作のプロデューサーに伝えたことからこの作品は始まります。日本に残った3人の兄弟と敵味方に分かれて戦うこと、自分の存在が日本側に知られてしまったら日本の家族に危害が加わるかもしれない。そんな複雑な状況を抱えながら戦ったロイ・マツモトさん。そこから知られざる日本とアメリカの姿が見えてくる作品でした。

トークショーではお2人の貴重なお話をうかがうとともに最後には『父のルーツであり、被爆地である広島で上映できて嬉しいです。今の国際平和がゆらぐ中で共生と平和について、この映画が今一度考えるきっかけになれば嬉しい』とカレンさん。大内さんも『広島に残るアーカイブを活用して平和活動に利用して頂きたい』と大内さん。お人のメッセージを受け取ることができました。
