ポジティブな力を持つ作品を、世界中から集めた映画祭。

広島ロケにこだわった長編『怪奇タクシー』完成披露トークショー

11月28()18:45、横川シネマにて『怪奇タクシー』で劇中の怪奇タクシードライバー役も務めた岩田正勝プロデューサー、岡本監督、原作者の森野達也さん、キャストの永山竜弥さん、瀧北未来さん、君島光輝さん、桜倉蛍さんによるトークショーが行われました。

作品は原作マンガを基にした三話構成のオムニバスで、全体の3分の1以上を広島ロケで撮影しています。岩田プロデューサーは「企画から3年、ようやく広島でお披露目できた」と感慨深げ。岡本監督も「広島の街で公開できるのがうれしい」と笑顔を見せました。漫画執筆時から背景を大事にしたという原作者の森野さんは、「第3話での広島の風景がとても印象的で実写化は成功」と、映像化を高く評価しました。

出演陣からは、氷点下近い寒さの中で行われた三段峡ロケや、スマートフォンのライトを頼りに山道を下りたエピソードなど、過酷ながらも思い出深い撮影秘話が次々と飛び出しました。

5人の俳優が尻込みしたという不気味な役を引き受けた長山達也さんは「ただ気味が悪いだけでなく、自分にしかできない“生木修一”にしたかった」と役作りに込めた思いを述べ、森野さんも「原作より深くキャラクターを掘り下げてくれた」と称賛しました。ロケ地では地元との連携も厚く、安芸高田市役所観光課長らも出演しています。

音楽はドイツ・ベルリン在住のピアニスト、福田元さんが完成した映像を見ながら生演奏で録音していくスタイルで制作され、映像と音楽の相乗効果が強調されています。

質疑応答では「ミステリーツアー」編で描かれる“人間の悪意”や集団自首の場面に質問が集中。岡本監督は「ホラー映画の定石をあえて覆し、“人間こそが怖い”というテーマを前面に出したかった」と説明。罪を犯した人物たちが死で終わらず「罪を償う場」を設けた理由を明かしました。終盤にはフォトセッションが行われ、締めくくりの挨拶で岩田プロデューサーは、原爆投下から80年を迎える節目の年に第17回広島国際映画祭で作品を披露できたことに触れ、「今朝、監督と原作者と共に平和公園の慰霊碑に献花し、広島で完成した映画をどうしても観ていただきたいと改めて思った」と声を詰まらせました。最後に登壇者一同が深々と一礼すると、客席からは大きな拍手が送られ観客は名残惜しそうに会場を後にしつつ、広島発の新たなホラー作品の余韻に浸っていました。